研究課題/領域番号 |
21K04143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
及川 大 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 准教授 (40707808)
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研究分担者 |
塚本 武彦 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (10217284)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 高温超伝導体 / テラヘルツ電磁波 / 微細加工 / 超伝導体 / 自己発熱効果 / ジョセフソン接合 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導体は次世代デバイス材料として注目されており,未開拓周波数領域であるテラヘルツ(THz)電磁波発振源への応用が期待されている。しかし,超伝導体を用いたTHz発振器は動作時に自己発熱が伴うため,それにより超伝導状態が破壊されてしまい,発振THz電磁波の出力が低下してしまう問題がある。そこで,自己発熱の抑制はTHz発振器の出力向上には必要不可欠であると考えた。本研究では,自己発熱の抑制手法を数値計算を用いて検証し,さらにその結果をもとに超伝導THz電磁波発振デバイスを作製し実験的にTHz電磁波出力の向上を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は高温超伝導体結晶構造中に内包されるジョセフソン接合のデバイス機能を用いた,テラヘルツ電磁波発振器の高出力化を目的としている。特に,高出力化の弊害となるジョセフソン接合における動作時の自己発熱効果の低減に主眼を置いている。 前年度に発熱効果の低減化を数値解析的に調査した。今年度は実験的研究を行う予定であった。そのためにはまず,超伝導結晶をミクロンサイズに微細加工する必要がある。その微細加工技術において重要なフォトリソグラフィやアルゴンイオンミリング(プラズマエッチング)の最適化,設計および構築を行なった。フォトリゾグラフィは現像技術を用いて微細パターンの描画を行うものである。まず,光源を駆動する回路の作製を行なった。また実体顕微鏡及び3次元可動ステージを用いてマスクアライナを自作し,感光剤(レジスト)や現像液の質,量や反応時間を最適化し,超伝導体結晶に望まれる微細パターンを作製することに成功した。一方,超伝導結晶を微細に切削するプラズマエッチング装置についての,高真空度の達成や,アルゴンガスの導入機構の構築を行なった。また貸与した高周波電源においてプラズマの点火や切削可能であることを確認した。 上記と並行して,数値解析による研究も遂行した。超伝導結晶の厚さを薄くすることで更なる,発熱の低減が可能なことを示した。さらに発熱だけでなく,実際に放射される電磁波の周波数や強度を超伝導結晶内部を等価回路に置き換えることによって評価した。 研究分担者とともに超伝導単結晶の作製を行い,原材料の融点を低下させるフラックス剤を通常より過剰に添加し焼結することによって,結晶性の高い単結晶を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度前半に所属期間の在外研究員制度でドイツに派遣されることが急遽決まり,渡航したために,後半は本研究における実験的研究は中断を余儀なくされた。特に実験装置の構築は現場にいなくては行えない状況であった。一方,並行して行なった数値解析では高出力の電磁波を放射可能な条件を示した。しかし総合的に,前年度期待されていた成果を十分に達成することができず,区分は「やや遅れている」と判断した。今年度9月には所属機関に復帰予定のため,実験的研究を再開する所存である。 また年度途中での渡航であり,数値解析や分担者の研究は遂行可能であったため,本応募課題の中断の届出は提出しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず,超伝導体をテラヘルツ電磁波発振器に加工するための,プラズマエッチング装置の構築を最優先で行う。構築後に切削効率を導入ガス圧,入力する高周波強度などを変化し明らかにする。 次に,超伝導結晶を上記装置等を用いて微細加工し,超伝導転移を確認するため抵抗の温度依存性を調査する。ゼロ抵抗(超伝導状態)になる臨界温度を測定することによって,超伝導結晶が微細加工の過程中に受けたダメージを定量的に評価する。 数値解析によって求めた最適な形状に,超伝導結晶を微細加工し,極低温化での電気的特性を評価する。具体的には温度に依存する電流電圧特性を観測することによって,おおよその発熱量は評価可能である。よって,まずは電流電圧特性の測定を行い,発熱量を算出し従来法より発熱が抑制されていることを示す予定である。さらにその実験的結果を数値解析によって推測された結果と比較検討する予定である。
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