研究課題/領域番号 |
21K04145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
立木 実 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (50318838)
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研究分担者 |
大井 修一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (10354292)
川原田 洋 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90161380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 超伝導 / 電界効果トランジスタ / ダイヤモンド / 銅酸化物 / 磁気光学顕微鏡 / 磁束量子 / 磁気顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は効率的な電力利用において、低損失デバイスとなることが期待される超伝導電界効果トランジスタの現象解明・動作機構実現のための基礎研究を行うものである。薄膜技術、低温計測技術、数値シミュレーション技術を駆使することによって従来に比べて大きな電流変調機能を持つ超伝導電界効果トランジスタの実現を目指す。
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研究実績の概要 |
ボロンドープダイヤモンド超伝導層/二次元正孔ガス(2DHG)層/ボロンドープダイヤモンド超伝導層からなるダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET)を作製し、超伝導層から水素終端ダイヤモンド-原子層堆積(ALD)Al2O3界面に発生する2DHGへの近接効果によって超伝導電流を誘起する超伝導FET実現を目指した。その結果1.6 Kの極低温環境下でのドレイン電流変調を実証した。(関連する国内学会発表2件、国際会議発表2件)。今後、よりチャネル長の微細化を目指すとともに、2DHGチャネル中の不純物などによる散乱を抑制することで移動度の向上、コヒーレンス長の改善をはかり、超伝導動作を目指す。キャリア濃度を減少させる観点からPLD法によるBi2201膜をバッファとしたBi2212極膜層の形成を行い超伝導特性を確認した。超伝導トランジスタの動作理解に必要な磁束量子の駆動状態を観測するために、磁気光学薄膜センサの独自開発を行い、単一磁束量子レベルの運動をリアルタイムに観察できる磁気光学顕微鏡システムの開発に成功するとともに、ニオブ材料の単一磁束量子および磁束量子クラスター形成のその場観察に成功した。これに付随して、磁束量子間の相互作用を微視的理論により広く記述できる理論モデルに基づいて、磁束量子の分子動力学法による数値シミュレーション法を開発し、単独磁束量子の運動および磁束量子クラスター形成のシミュレーションを行い、磁気光学顕微鏡による実験結果との比較を行った。(関連する国内学会発表2件、国際会議発表1件)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超伝導層/二次元正孔ガス(2DHG)/超伝導層からなるダイヤモンド電界効果トランジスタを作製し、1.6 Kの極低温環境下でのドレイン電流変調を確認した。引き続き、超伝導状態での動作の実証を目指す。キャリア濃度を減少させる観点からPLD法によるBi2201膜をバッファとした超伝導Bi2212極膜層の形成を行い超伝導特性を確認した。また、当初予期していなかった成果として、超伝導トランジスタの電圧発生状態に影響する磁束量子の動的性質観測に関し、磁気光学薄膜センサの独自開発によって、磁束量子の動的観測がリアルタイムに可能な磁気光学顕微鏡の開発に成功し、ニオブ材料の単一磁束量子および磁束量子クラスター形成のその場観察に成功した。これに付随して、磁束量子間の相互作用を微視的理論に基づいて取り入れた磁束量子動力学シミュレーションの開発を行うことにも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2DHG層のショートチャネル化や、低温環境での移動度向上や、ボロンドープダイヤモンドの極薄膜の直接変調などにより、ダイヤモンド超伝導FETの実現を目指すとともに、銅酸化物高温超伝導チャネルに対しても、カーボンナノチューブなどを用いた微小マスクなどをイオンエッチングのマスクに利用した微細化を進めるとともに、Bi系層状強誘電体のゲート絶縁膜への適用など超伝導FET動作の検証を続ける。また、特にダイヤモンド超伝導体に関しては、磁気光学顕微鏡による、磁束量子観察や量子ビットへの展開も含めた研究を継続する。
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