研究課題/領域番号 |
21K04146
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
北中 佑樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (20727804)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 薄膜 / 複合材料 / 誘電体 / 結晶構造 / 第一原理計算 / 薄膜作製 / 誘電体材料 / 光反応 / 自発分極 |
研究開始時の研究の概要 |
多様な組成傾斜構造を構築可能な方法として「ナノ構造を核としたパルス光照射結晶成長手法」を創出し、傾斜構造誘電体の高機能化に有効な複合構造設計の指針確立へつなげることが本研究の目的である。 化学溶液法を用いてナノ構造が分散したアモルファス膜を基板上に形成し、パルス光を照射して瞬間的に加熱することによって、ナノ構造を核としたアモルファス相の結晶成長を発生させる。膜を瞬時に加熱して低温度域を高速で通過することによって核発生を抑制し、膜中のナノ構造からの支配的な結晶成長を誘起することが可能となる。ナノ粒子とアモルファス膜の組成を任意に選択することによって、多様な組成傾斜構造を得られることが期待される。
|
研究実績の概要 |
誘電体材料の高機能化手法として、異なる分極状態を持つ材料をナノ領域で人工的に複合化 し、界面領域に分極傾斜構造を構築する方法が期待されている。本研究では、ナノ構造を含有した有機金属溶液を光照射によって結晶化し、膜中に分極傾斜構造を含有する薄膜形成プロセスを開発することを目的とする。 昨年度までに、ナノ粒子と元素ドーピングの導入により漏れ電流の影響なく薄膜の強誘電性の評価を実現した一方で、ナノ粒子がもたらす傾斜構造が膜全体の電気物性に影響を及ぼす機構については未解明であった。昨年度に引き続き、アルカリNb系ペロブスカイトを簿材料として成膜条件探索およびナノ粒子・ドーピング量の最適化を行った結果、誘電体膜の絶縁破壊強度が大きく向上することが明らかとなった。結果として、スパッタなどの設備で作製されたアルカリNb系膜と匹敵する分極反転能を示す薄膜を、大気中で湿式プロセスで作製することに成功した。 分極傾斜構造が膜の電気物性に影響を及ぼす機構を明らかにすることを目的として、電子状態計算を用いた分極傾斜構造の物性予測を行った。ペロブスカイトの相転移挙動を計算する目的で機械学習を取り入れた材料物性計算を、昨年度よりさらに改善してより効率的にポテンシャル曲面を計算する手法を開発した。異種材料間での分極-構造エネルギー相関の違いから、本研究で構築した分極傾斜構造についての考察を行い、ポテンシャル曲面を決定するエネルギー項の類似性が、分極傾斜構造を形成する上で重要であることが示唆された。今後は、網羅的な材料計算へと進展させ、有望な異種材料複合構造の予測と簡便な溶液法での膜作製とを有機的に連携する、MIプロセスへの高度化を進めていきたい。
|