研究課題/領域番号 |
21K04148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
野本 淳一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (30711288)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 透明導電膜 / 金属酸化物 / キャリア輸送 / 光反応 |
研究開始時の研究の概要 |
波長やパルス幅によって熱・化学的効果が制御可能と思われる光照射技術は、高温が適用できないフレキシブル基板上において、高移動度な酸化インジウム透明導電膜を実現する有望技術の一つである。本研究では、前駆体薄膜形成条件と、光照射による熱・化学的効果が固相結晶化後の薄膜の高移動度発現に与える影響を点欠陥レベルで理解し、低温下におけるドーパント活性化技術を開発・体系化する。成果を通して、樹脂など、軽量、フレキシブル基板上に高移動度透明導電膜の形成を実現することを目的とする。
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研究実績の概要 |
水素を添加した、または水素と遷移金属を共添加した酸化インジウム透明導電膜は、顕著に高いキャリア移動度 (>100 cm2/Vs) のため、低いキャリア密度で高い電気伝導を実現できる。そのため、自由電子による光吸収が低く、可視から近赤外領域まで広い波長域で透明である。このような透明導電膜の研究開発は、既存の電子光デバイスの性能向上のみならず、新奇デバイスの創出をもたらす。当該薄膜の形成は、2 段階から成る。先ず、非晶質の前駆体薄膜をマグネトロンスパッタなどの気相成長法で形成する。この時、膜の結晶化を抑制する目的で微量の水蒸気を導入する。次に、非晶質の前駆体薄膜を約 150 度以上の加熱により固相結晶化することで巨大な結晶粒を形成し、高移動度の特長が発現する。そのため、年々需要が拡大している耐熱性の低い高分子基材上への形成は、困難であった。 今年度は、前駆体薄膜の形成手法から検討した。所有する一般的なマグネトロンスパッタ法で形成した前駆体薄膜には微結晶が混在し、それらは結晶化の際に結晶成長を妨げ、形成される結晶粒が小さくなり課題となった。成膜電力の制御による検討から、微結晶の形成には成膜粒子のエネルギーが強く影響していることを発見し、解決策として成膜粒子のエネルギーがマグネトロンスパッタよりも低い、直流アークプラズマを用いるイオンプレーティング法の採用に至った。その結果、微結晶が極めて少ない前駆体薄膜の形成に成功した。その前駆体薄膜の固相結晶化プロセスに、光照射技術を適用することで、報告されているフレキシブルの中で最も高い133 cm2/Vsの高キャリア移動度と、14.2 ohm/□ の低いシート抵抗をポリエチレンテレフタレート (PET) シート上で実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記したように、当該研究の目標であるフレキシブル高移動度透明導電膜の形成に成功した。現在は光照射時の固相結晶化過程を、各照射条件下における薄膜の構造と光電子分光で測定した点欠陥の情報を基に解明を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、前駆体薄膜の材料の選定およびその形成条件と、光照射条件を最適化することにより、形成プロセスのハイスループット化を図っていく予定である。
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