研究課題/領域番号 |
21K04158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
遠藤 聡 東京理科大学, 先進工学部電子システム工学科, 客員教授 (60417110)
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研究分担者 |
藤代 博記 東京理科大学, 先進工学部電子システム工学科, 教授 (60339132)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | InAsSb / 量子井戸構造 / 分子線エピタキシー法 / 電子移動度 / モンテカルロ計算 / バンド構造計算 / 遮断周波数 / バンド計算 / VASP / 半導体 / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
テラヘルツ帯で動作する高電子移動度トランジスタに用いる半導体量子井戸構造として、チャネル層にInAsSb、バリア層にAlInSbを用いる。この系においては、伝導帯エネルギー不連続が大きく電子を井戸中に溜めやすい。更にInAsSbチャネル層においては、電子の有効質量がⅢ-Ⅴ族化合物半導体において最軽量になる可能性がある。そのため、この構造においては電子移動度、電子速度がⅢ-Ⅴ族化合物半導体中で最高になる可能性がある。 本研究においては、高電子移動度・高電子濃度を有するAlInSb/InAsSb格子整合系量子井戸構造結晶を、シミュレーションと実験を併用し相互にフィードバックをかける手法で実現する。
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研究実績の概要 |
InAsSbチャネル量子井戸構造における電子輸送特性に関する研究を、実験(結晶成長と評価)とシミュレーション(バンド構造計算、モンテカルロ計算)を併用して進めた。分子線エピタキシー装置のAsクラッキングセルの故障により、結晶成長の実験開始が1年遅れてしまい影響が生じた。 昨年度(2022年度)に行ったバルクInAsSbのⅤ属元素の組成制御の結果を基に、バルクInAsSb(厚さ300~500 nm)のⅤ属元素組成、成長温度、バッファ層を変えた実験を行った。InAsSbにおいてはⅤ属元素組成や成長温度により、InAsとInSbの相分離が起こることが知られている。今回の結果によれば、特に成長温度による相分離への影響が強く見られた。バッファ層にはInSb、AlSb、AlInSbを用いた。表面形態や結晶性においてはInSbバッファが最も良く、この場合の電子移動度が最も高かった。またInSbにAsを加えていくと、電子移動度は徐々に減少し電子濃度は増大する。低As組成で高温成長させると表面形態、結晶性、電気的特性が向上する。現時点では、電子移動度の最高値として、As組成0.16で約15,000 cm2/Vsが得られた。 InAsSbにおけるバンドギャップやΓバレーにおける電子の有効質量は、InAsとInSbの線形内挿値から大きく負方向に湾曲する。汎用的な擬ポテンシャル法によるバンド計算ではこの現象を再現することが出来ない。そこで第一原理バンド計算プログラムVASPにより、混成密度汎関数理論を用いてInAsSbのΓ-L及びΓ-Xバレー間のエネルギーを計算したところ、負方向への湾曲が得られた。これまでモンテカルロ計算に用いたパラメータは、Γバレーの電子の有効質量以外はInAsとInSbの線形内挿値である。今後はVASP計算によりバンドパラメータを厳密に抽出する必要がある。
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