研究課題/領域番号 |
21K04169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
辻 寧英 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (70285518)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 光デバイス / トポロジー最適化 / 関数展開法 / 随伴変数法 / 共分散行列適応進化戦略 / 有限要素法 / トポロジー最適設計 / 多目的最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では作製可能性により重きを置いた汎用的で多目的な最適設計法の開発を目指す.そのため,これまでの検討でまだ達成できていない次のことを明らかにしていく.まず,デバイス特性と作製の難易度やトレランスなどの複数の目的関数を用意したときの多目的トポロジー最適設計手法の開発を行う,次に,トポロジー最適設計された構造から特性に寄与する本質的な構造とそれ以外の構造を分離し,デバイス動作の物理を明らかにするとともに、構造の単純化手法の検討を行う.これに加えて,自動最適設計の初期段階で用いる各種の近似を用いた効率的な数値解析手法の適用可能性と最適設計に適した高精度で高効率な解析法の開発を試みる.
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研究実績の概要 |
前年度の検討を引き継ぎ,実際の作製を考慮してより単純な構造で目的の特性を実現するための検討と光デバイスに対する設計手法をミリ波デバイスに応用することを中心に検討を行った. 光デバイスのトポロジー最適設計で,関数展開法の表現関数として新たにメタボールを表す関数を導入し,基本的な回路素子から波長分離素子などの波長依存デバイスの設計を通してその有用性を確認した.メタボールの半径に制約を加えることで構造の先鋭化や微細化を避けられることが示された.さらに,構造の曲率半径および線幅に制約を課した設計についても検討を行い,関数展開法の枠組みのなかで目的関数に制約条件を加えることができるようにした. 最適解の探索方法について,従来の勾配法と進化的手法をハイブリッド化した最適化手法を提案し,進化的手法に比べて解探索効率が高く,勾配法に比べて大域探索能力が高いことを示した.また,勾配の計算が難しい場合に対して共分散行列適応進化戦略を新たに導入し,いくつかの設計例を通してその有用性を確認した. 本研究は光デバイスの設計を主としているが,ここで開発した技術は周波数帯の異なるミリ波,THz波デバイスの設計へも容易に応用でき,ミリ波帯伝送路として期待の高い非放射誘電体線路(NRDガイド)を基盤とするNRD素子の設計に応用し様々なデバイスの設計例を示した.また,NRDガイドでは面外放射が本質的に起こらないことを利用して,モザイク状構造デバイスの設計にも着手しバイナリ型の進化的最適化手法を整備し,バイナリ型のハーモニーサーチが安定して効率的に解探索が可能であることを示した. 最適設計では効率的な数値シミュレーション手法の開発が重要であるが,3次元構造を有するNRDガイドを厳密に2次元解析できる新しいFDTD法を提案し,3次元解析の結果と比較することでその有用性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで,目標とする特性を与えるだけで最適なデバイスを実現するトポロジー最適化手法について検討を行い,基本的なデバイスの設計例を通してその有用性を確認した.一方で,何も制約を与えずに設計を行うと目的の特性を実現できるが実際に作製するのは難しい構造が得られることもしばしばあった.これを解決するために,新たな関数表現を導入し,新たな構造制約条件を導入することで特性を大幅に劣化させることなく素子構造の単純化を達成できた.また,この方法により素子特性の広帯域化が達成されやすいことも同時に示された.本手法を光デバイス以外のミリ波デバイス,THz波デバイスにも比較的容易に適用できることを示した. 最適設計の中で使用する数値解析手法にもいくつかの検討を行い3次元NRDガイド素子を厳密に2次元解析できるFDTD法を開発するなど計算の効率化に対するいくつかの進展があった.3次元素子の設計の前処理として2次元近似設計を行うことの有用性もいくつかの解析事例で確認した. 最適解探索の方法においても随伴変数法による感度解析が可能な場合と難しい場合に分けて,これまで本研究グループで開発してきた手法を有機的に結合することで安定で効率的な解探索が可能であることを示した. 以上のように当初目標を達成するための要素技術として多くの成果を得ることができ,これらの成果を基に汎用的な最適設計法を構築できる見通しが立ってきており,研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに得られた知見を有効活用して,汎用的で効率的な光デバイスの最適設計法を構築・発展させ,これを用いた新たな光デバイスの設計を行っていく. 光回路の小型化を目指して強導波路デバイスの設計が必須であり,3次元構造としての光デバイスの設計は重要な課題である.現状でも3次元設計は可能であるが,実際の開発現場で活用するためには設計効率をより高める必要があり,そのための数値解析手法の検討を継続して行う. 目標とする特性を実現するための設計条件(設計領域サイズ,使用材料など)は現在設計者の過去の知見に頼っているところが大きい.目標とする特性を実現するために必要とされる設計領域サイズの自動設定はひとつの課題と考えており,最適設計過程における設計領域サイズの可変化も検討する予定である. 目標とする特性を実現しながらより作製しやすい構造を設計できることも重要な課題であり,設計における構造制約条件についても引き続き検討を行う.特に目的関数の中で構造制約を課す際には感度情報を用いない最適化アルゴリズムを採用しているが,構造制約条件に対する感度評価も可能にすることで勾配法ベースの最適化手法が利用でき,解探索を効率化できると考えられるため,そのための感度評価手法の検討も行う. 本研究で開発した最適設計手法を,非線形効果などを含む各種の光デバイスの設計に拡張するとともに,光以外のミリ波,THz波デバイスの設計にも適用しながら問題点の整理と改善を行っていく.
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