研究課題/領域番号 |
21K04184
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
塚本 新 日本大学, 理工学部, 教授 (30318365)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 超高速磁化制御 / 全光型磁化反転 / 角運動量流 / フェリ磁性 / 超短パルス光 |
研究開始時の研究の概要 |
「磁化はどこまで高速に応答・制御可能であるのか?」との根本的問いに対し、超短パルス光を原因・手法とし、磁性体内に角運動量流を誘起、副格子磁化構造および多層膜構造による過渡応答の設計と超高速分光計測により探究を進めるのが目的である。高強度超短パルス光励起に続く固体内におけるエネルギー・角運動量の超短時間散逸特性の検討とともに光誘起超高速磁化制御法について相補的検討を行う。超短時間磁気物性を明らかにすると共に、その方法は超高速磁化応答を得る材料・構造の創出を意味し、磁気メモリ等デバイス応用を想定した多層薄膜構造により達成を図るものである。
|
研究実績の概要 |
本研究では、「磁化はどこまで高速に応答・制御可能であるのか?」との根本的問いに対し、多層膜構造化による光物質作用の設計と超短パルス光誘起磁化反転現象の応答実験により探究を進めるのが目的である。 超高速光励起プロセスのエンジニアリング観点にて、光学多層構造化による超短パルス偏光-磁気応答制御について検討を行った。注目すべき知見として、GdFeCoを対象磁性材料系とし、光学干渉層厚の増大と共に磁性薄膜での吸収光エネルギー量が単調に増大する範囲(SiN厚:20~100nm)に於いて、実行的磁気円二色性は中間厚にて符号反転を示す事が明らかとなった。光パルス長は約35fsである。前者は磁化反転に要する吸収光エネルギー閾値を、後者は、左右円偏光に対する吸収エネルギー差の強度および入射円偏光のカイラリティおよび磁化ベクトル間の符号関係を決定する性質であり、それらが異なる光学干渉特性を有する事を示す。これにより、入射円偏光と残留磁化状態依存性の符号関係・相反関係を反転でき、結果として、偏光依存型全光型磁化反転現象の入射偏光に対する符号関係が反転可能である事を実証した。さらに、自由電子レーザーを利用した中赤外線から遠赤外線領域に渡る全光型磁化反転特性の波長依存性を検討し、シリコン基板側から光入射する事で、同様に超短パルス光吸収特性の増強が可能である事を明らかにした。これらの結果は、同一磁性体でも光学多層構造化により実効的に超高速光磁気作用の応答等特性設計・増強が可能である事を示す。 また、関連事項として、前述の全光型磁化反転感受特性を有する重希土類遷移金属合金薄膜に対し、熱平衡下における、磁気光学効果、異常ホール効果、異常ネルンスト効果等の相関を解明、薄膜内部と異なる磁性領域が界面近傍に局在して出現し、正味の磁気特性の膜厚依存性の主要因となる事、その寄与は隣接原子種により異なる事を明らかにした。
|