研究課題/領域番号 |
21K04186
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
|
研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
鎌倉 良成 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (70294022)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | ReRAM / 回路シミュレーション / 時系列解析 / 深層学習 / パラメータ抽出 / モンテカルロシミュレーション / ニューロモルフィック / 抵抗変化型メモリ / ニューラルネットワーク / コンパクトモデル / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
超低消費電力AIの実現に向け期待されている、抵抗変化型メモリ(ReRAM)を用いた回路の挙動を正確に予測するための数理モデルを開発する。アナログメモリとしての特性再現、特にReRAMの動作機構が本質的に内在する「ゆらぎ」の統計性を正確に反映することを目指す。さらに簡単な回路動作実験を行い提案モデルとの比較を行うことで、ReRAMの特性ゆらぎが脳型コンピューティングに与える影響について考察する。
|
研究実績の概要 |
抵抗変化型メモリ(ReRAM)の回路シミュレーション用コンパクトモデルの開発を進めた。ニューロモルフィックコンピューティングにReRAMを活用する際要求されるアナログメモリとしての特性再現を主要目的とし、ReRAMの動作機構が本質的に内在する「ゆらぎ」の統計性、特に書き込み・消去サイクル毎の特性ばらつき(C2C変動)の時系列分析に基づくシミュレーション・モデリングを実施した。 例えばいくつかの先行研究において、擬似乱数を用いてReRAM特性のC2C変動を模擬する回路シミュレーション用SPICEモデル等がこれまで報告されてきたが、そこでは時間相関が考慮されておらず、より現実的な時系列モデルが求められていた。そこで本研究では、観測したC2C変動の振る舞いを回路シミュレーションに反映することを念頭におき、ReRAM電流-電圧特性の時系列統計解析結果をSPICEモデルに取り入れるための方法論を構築した。また、そこでの一連の解析に膨大な計算時間を要することから、その作業過程を効率化するため、深層学習を用いて大量の実験データから高速にSPICEパラメータを抽出する手法を提案し、その有効性を確認した(本研究グループ内での比較であるが、Levenberg-Marquardt法を用いた一般的なパラメータ最適化法を用いた場合と比べ、約60万倍の高速化を達成した)。 これらの検討を積み重ねた結果、ReRAMのサイクル特性に関する実測データの時系列統計解析に基づき、現実的なC2C変動を取り入れた回路解析を実行できる新たなシミュレーションフレームワークを構築することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画で主要目的として掲げた、ReRAMのC2Cゆらぎを反映した回路シミュレーション用コンパクトモデルの開発は概ね達成できたが、その成果報告は、国内学会・研究会での発表にとどまっており、外部に詳細を広く公表した状況とは言えない。さらに、当初副次的な目的として挙げていた「スパイキングニューラルネットワークの簡単な回路動作実験を行い、提案モデルによるシミュレーションとの比較を行うことで、ReRAMの特性ゆらぎが脳型コンピューティングに与える影響について考察する」課題については、未だ不十分な進捗にとどまってる状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
ReRAMのC2Cゆらぎを反映した回路シミュレーション用コンパクトモデルに関する研究成果をまとめ、国際会議または原著論文として発表する。さらに、このコンパクトモデルを利用して、ReRAMを応用したニューロモルフィック回路のシミュレーション解析を行い、C2Cゆらぎがその動作に与える影響を評価する。
|