研究課題/領域番号 |
21K04193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
桑村 有司 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (10195612)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 光フェーズドアレー / 光ピーム走査素子 / 光波面制御 / プラズモニクス / プラズモニック光位相変調器 / 電気光学ポリマー / 光ビーム走査素子 / 光フェースドアレー / プラズモニック光導波路 / 光位相変調器 / 電気光学有機ポリマー / 光制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、電気光学有機ポリマー材料とプラズモニック位相変調器をN本並べた新規光フェズドアレーを新たに提案し、低電圧で偏向角走査範囲が100度以上、超高速、超小型、超消費電力の素子設計を行う。提案素子では、電圧で出力端での光等位相面形状を自由に操ることできるため、1次元方向の偏向走査に加え、焦点距離可変の集光レンズ機能等を有する動的な出力光ビーム形状・走査機能も実現できる。2次元ビーム走査や凸レンズのように焦点位置に集光でき、その位置を自由自在に操ることができる動的なレンズ機能を有する素子を設計する。集光機能のみならず光の等位相面を任意の形状に変換操作できる機能を確認する。
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研究実績の概要 |
銀/電気光学ポリマー(EOP)/銀構造の金属ギャップ・プラズモニック光変調器(PPM)をアレー状にN本並列に並べたプラズモニック光フェーズドアレー(POPA)を提案して,初年度からPOPA素子設計を2次元FDTD法を利用して開始した.波長は1.55μmである.POPAでは,素子出力端での光波面の形状を自由形に操作することができる.電圧制御により波面を1)のこぎり刃形状にすると等位相面は一直線に傾き,出力端から空気側に出力される光ビームの方向を電圧可変できる.初年度は出力光ビームの進行方向を100度以上の広範囲で偏向走査できる高速で低消費電力の小型POPAを設計した.一方,POPAでは,光出力端での波面を2)円弧形状にすれば,印加する電圧だけで,凸レンズのように焦点位置に光を集光させる機能を有する.そして1)と2)を併用すれば,光焦点位置を自由自在に電圧で操作できる機能が実現できる.今年度は,上記機能を有する改良型POPAの設計を行った.銀/電気光学ポリマー/銀構造を導波路軸を中心に90度回転させ,幅100nmのPPM導波路を600nm周期間隔でN本並列に並べたPOPA構造を採用した.光出力側媒質は,空気でなく,2次元に広がった水/銀界面を利用する.改良型POPAから出力された光は,水/銀界面の表面プラズモン(SP)モードに結合させると,SPモードは水/銀界面を表面波として進行するため,光電界は界面近くに閉じこめられる.これと上で述べたPOPAの光焦点機能を併用すると,3次元的に光を焦点位置に集中させることが可能となる.電圧操作で光焦点位置を操れるPOPA素子の動作を3次元FDTD法を用いて実証した.このPOPAの応用例としては,液体中を浮遊している微粒子,分子や細胞等を光圧で光焦点位置に集めて,希望する位置に移動可能な光ピンセット機能を有するPOPAとして活用できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
改良型POPAは,上下方向に銀1/EOP(100m厚)/銀2構造,横方向にEOP幅100nmのプラズモニック導波路を周期間隔600nmで32本並べてアレー位相変調器を構成した.POPA出力端幅は約26μmである.光出力側媒質は水/銀3構造とし,EOP/銀2と水/銀3の両界面を一致するように接続させた.上記の解析モデルを想定し,波長1.55μmの光をPOPAへ入射して光の伝搬特性を3次元FDTD法を用いて解析した.32本のPOPAから出力される光電力は,ほぼ100%近く水/銀3界面のSPモードに結合して接合部での放射損失は無視できた.32本のPPM位相変調器に電圧印加して出力端での光波面を円弧形状とすると,円弧半径rに光が集まり,凸レンズ同様の集光効果が確認された.幅26μmに広がった光強度が焦点では半値幅0.5μm程度まで集中した.波面の円弧半径rや円弧方向を電圧調整することにより,焦点位置は50μm×100μmの範囲内で自在に操ることができることを数値計算で確認した.焦点位置での光強度の半値幅は,通常レンズと同様,光の開口数で決まる. 本研究で設計したPOPAは,電圧制御を用いて銀界面の沿った2次元面内で光焦点位置を自由自在に可変操作できるため,以下に述べる応用が期待される.焦点近傍では電界強度勾配により,微粒子などの物質に力が加わり,光強度の強い光焦点に微粒子が捕獲される「光ピンセット」操作として活用できる.分子や細胞などのマイクロ微粒子を含む液体を光出力側の銀3界面上に流し込み,欲しい微粒子Aを光焦点で捕獲して,希望する位置に移動させる.この光ピンセット機能を有するPOPAを2台利用して,微粒子Aと微粒子Bを捕獲して同じ位置に移動・接近させた後,異なる波長の光を照射して光化学反応させれば,新たな粒子ABの合成ができるなどバイオ・医療・化学分野への応用活用が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
初年度のPOPA設計では,2次元FDTD解析により,POPAの基本性能を見積り,他タイプのOPAと比較しての利点や特徴を抽出した.最終年度は,工学的・応用面から使用しやすい構造のPOPAを設計する.POPAの出力側に回折格子付のスラブ導波路を接続させ,回折格子の上側または下側に光を出力することができる構造に改良する.スラブ導波路の等価屈折率neffは,1.5~3.0程度を想定している.neff=1.6は有機材料,neff=3.0はSiをコアとする導波路で設計を行う.スラブ導波路面に対して垂直方向に光放射する方向を基準として,POPAへの電圧制御では回折格子表面凹凸周期間隔の平行線に対してほぼ平行な方向,POPAへ入射する波長を可変すると凹凸平行線に対して垂直な方向へ光放射の角度を可変できると予想され,光放射の方位角を調整することができる.より可変範囲の広いPOPAの設計を目指す.また,高解像度の光計測へ応用するには,出射光ビームの広がり角を小さくすることが望ましい.フーリエ変換の位置と波数ベクトル都の不確定性原理から光放射面の面積を広く設計するほど広がり角が小さくなると予想されるため,より平行度の高いビームを実現できる素子構造を検討していく.
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