研究課題/領域番号 |
21K04194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中島 義賢 大阪大学, エマージングサイエンスデザインR3センター, 特任准教授(常勤) (40408993)
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研究分担者 |
酒井 政道 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40192588)
水木 徹 東洋大学, バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター, 研究助手 (80408997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞外シグナル / 分析デバイス / プロトン / 電気信号 / グルコース消費 / 乳酸産出 / 老化細胞 / 細胞分析デバイス / マイクロ流路 / 正常細胞 / ソーティング |
研究開始時の研究の概要 |
スマートウォッチを代表としたウェアラブルデバイスによる生体信号検出の研究・応用は近年急速に発展していて、簡単なバイタルデータの取得は可能になっている。これに細胞表面の抗原、膜タンパク質や細胞外シグナルの見識が加われば、予防医療への展開が期待できる。 本研究では、細胞分析デバイスを作成し、細胞外シグナルをデバイスの「電気信号」から計測し、細胞の状態変化の評価を試みる。デバイスと細胞・生体物質間のバイオ界面での相互作用によりデバイスから出力される「電気信号」の解析結果は予防医療の新たな指標としての可能性を有し、投薬のタイミング、副作用の軽減などの貢献につながると考える。
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研究実績の概要 |
本研究課題である、細胞外シグナルの計測によるその細胞の未来予測ができる分析デバイス作成に向けて、プロトンを取り込むとその抵抗率を変える材料の評価を行った。 動作環境は細胞培養下を想定しているため、材料および分析デバイスには次の2つのことが求められる。1)使用する材料が、培養液により腐食や融解が起こらないこと、2)使用する材料から細胞へ有害な影響を及ぼさないことである。 そこで、使用する材料のLaAlO3基板上に成膜したNdNiO3層について、成膜直後と(培養液の代わりに同pH値の)pH標準液に浸漬させ、それぞれのサンプルをTEMとXRDを用いて結晶構造の評価を行った。いずれの測定法においても、pH標準液による結晶構造の変化がないことが分かった。つぎに、この基板上へ細胞播種を行い、その細胞毒性について調べた。細胞培養を行い、基板表面での観察を行ったところ、この基板では細胞の接着が困難であることが分かった。細胞は溶液中でカルボキシル基などにより負に帯電する。一方で、基板にガラスやPDMSを選択した場合には、同様に表面が負に帯電するため、このような基板では側鎖にアミノ基(NH3+)を有するポリ-L-リジンなどを細胞接着させるために用いる。NdNiO3/LaAlO3基板の表面にポリ-L-リジン処理を行い評価を行ったところ、細胞接着が確認できたため経過観察を行った。細胞増殖の確認後に細胞生存率を調べたところ67.7%(通常環境下では94%)であった。分析デバイスに用いるNdNiO3/LaAlO3基板上に細胞を接着・培養させることはできたが、通常環境に比べて20%ほど低く、その原因の解明を行っている所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に予定していて半導体不足により納品が遅れていた計測器などが整い、計測環境を整備することができた。 そして、プロトンの取り込みによりその抵抗率を変えるNdNiO3材料について、分析デバイスとして動作させる環境下で使用可能であることを明らかにすることができた。細胞毒性が低く、良好な細胞接着性が得られる、細胞とNdNiO3材料の間に用いるコーティング剤の検討が残っているが、次年度において、細胞の未来予測のための計測が可能な段階におおよそ進んだと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞から放出されるプロトンを検出できるデバイスの作成し、正常細胞と老化細胞の計測・判定を行う。プロトンの放出量から正常細胞と老化細胞に分類することが可能かについての実験を行うことを計画している。 植え継いだ細胞は一斉に老化細胞になるわけではないため、正常細胞と老化細胞の分類・仕分けが可能であれば、老化細胞のみを集め、それらから発せられるシグナルから老化現象の理解が深められると考える。
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