研究課題/領域番号 |
21K04204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
小山 政俊 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30758636)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 酸化ガリウム / 3C-炭化ケイ素 / ミストCVD / 高電子移動度トランジスタ / Si基板 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、新たなパワーデバイス材料としてSiCやGaNが実用化され、さらに高耐圧動作が可能なGa2O3が注目されている。Ga2O3バルク基板は小口径・高額であることから、安価で汎用性の高い基板上での実現が望ましく、本研究では、Si基板上に成長した3C-SiC 上にε相単相の Ga2O3薄膜を成膜することで、Si 基板上にε-Ga2O3系ヘテロ構造を作製し、低損失Ga2O3-HEMT を実現することで、既存の半導体工場との親和性が高く、ウェハの大口径化が容易な Si 基板を用いた安価な次世代デバイス開発を目指す。
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研究実績の概要 |
超ワイドバンドギャップ半導体材料として、ダイヤモンド等と並び高耐圧パワーデバイスのチャネル材料の一つとして将来の実用化が期待される Ga2O3 は、5つの結晶多形を持つ。その中でも、その結晶構造により自発分極を有する orthorhombic 構造をとる κ-Ga2O3 は分極電荷を利用したデバイスへの応用が期待される.本研究課題では、κ-Ga2O3を安価で入手が容易なSi基板上に形成し、κ-Ga2O3 の分極電荷を利用した2次元電子ガスの形成と、それを利用した高電子移動度トランジスタの開発を目指している。 昨年度まで、横型管状電気炉、ファインチャネル方式のミスト化学気相堆積(CVD)法で、 (111) Si基板上にMOCVD法で (111) 3C-SiC を成膜したテンプレート基板上に κ-Ga2O3 を成膜することができる条件を見出してきた。前者の方法では、3次元的な成長が支配的になり、薄膜デバイス応用に適した平坦な薄膜形成が難しかったことから、昨年度はファインチャネル方式に変更してorthorhombic構造を有する κ-Ga2O3 単相の薄膜を成膜できる条件を見出した。しかしながら、半導体ヘテロ接合デバイスに応用する観点では、依然として表面平坦性に改善の余地があり、今年度は、更なる表面平坦性の改善を行なった。 今年度は、昨年度同様のファインチャネル方式のミストCVD法で、前駆体溶液の供給量を調整することによって、成膜される薄膜の表面平坦性への影響を調査した。その結果、前駆体溶液の供給量を増加することによって比較的平坦な薄膜が得られることが明らかになった。その結果を受け、Ga2O3薄膜に新たにIII属元素であるインジウムを混晶化させる三元混晶化技術に着手し、混晶化の基礎検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では、2021年度中にGa2O3薄膜の三元混晶化技術と、自発分極の評価を行う予定であったが、Ga2O3の薄膜の平坦化技術開発を行なった、三元混晶化技術の確立まで進められておらず、また、Ga2O3薄膜の自発分極評価については、着手できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に着手予定であった三元混晶化技術と、Ga2O3薄膜の自発分極の評価について、2023年度に速やかに取り組む予定である。前者については、III族元素でありインジウムの混晶化技術について着手しており、Inを混晶化させたGa2O3薄膜の成膜条件の確立とその電子輸送特性の評価を2023年度前半に行う予定である。2023年度後半は、ヘテロ構造の形成に着手し、そのヘテロ界面の評価を行う。後者については、強誘電体評価システムを用いて、分極電荷の発生の有無を調査予定である。
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