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地中コンクリート構造物におけるASR発生機構の解明とその補強効果の実証的検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K04225
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
研究機関石川工業高等専門学校

研究代表者

津田 誠  石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (60818566)

研究分担者 西澤 辰男  石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 客員研究員 (00143876)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードASR / 地中構造物 / 地下水 / 暴露試験 / 膨張率試験 / イオンクロマトグラフィー / 偏光顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 / アルカリシリカ反応 / フライアッシュ / 地中養生 / 補強
研究開始時の研究の概要

地中・水中構造物など詳細な点検・診断が困難な箇所において、アルカリシリカ反応(ASR)による深刻なリスクが全国に存在する。一方、良質な骨材の全国的な枯渇を背景に、ASR対策としてフライアッシュの有効な利用法の確立が大きな課題となっている。そこで、ASR劣化構造物の補強後に設置した計測機器による長期モニタリングデータにより、地中構造物におけるASRと環境条件との関係を解明し、そのリスク評価法を開発する。さらに、新規構造物のASRの発生抑制を目的として、産業副産物であるフライアッシュを用いて、実環境を再現したコンクリートのASR試験やその岩石学的調査により、抑制対策について実用的な方法を提案する。

研究実績の概要

日本各地にてアルカリシリカ反応が報告されている中,その多くが地上部分に限られている.しかし,地上部の損傷程度が小さい橋脚において,地中部のフーチングにて激しいASR劣化が判明した.また,小学校の校舎基礎部ではひび割れ幅が3mmを超える大きなひび割れが網の目状に発生し,これら不可視部のASRによるリスクが考えられた.このように可視部と不可視部にて健全性が大きく異なる構造物が潜在的に一定数存在していると考えられる.
本研究では研究ではASR促進養生試験としてASRが発生した位置で採取済の土を使用し,地中環境を再現した条件にて試験を実施する.
実験は土壌の種類や地下水変動,骨材の種類などの条件を組み合わせたケースにて行い,さらに,土壌や供試体から溶出した各イオンを合わせて測定する.また,フライアッシュを混和した供試体を用い,終了後に薄片を作製し,偏光顕微鏡や蛍光顕微鏡観察を行い,反応性岩種と反応性鉱物の同定,アルカリシリカゲルの生成とひび割れの発生状況の観察を行う.
実験の結果,セメント単味のケースでの膨張率の推移は反応性骨材および非反応性骨材とも比較的大きな膨張があった.また,同じ40℃の試験温度であるJIS A1146のモルタルバー法よりも,大きい膨張率を示し,その理由として供試体周辺の砂質土や供試体からのアルカリの溶出が考えられる結果を得た.さらに,ASRが発生した土壌と同じ条件にて現地での暴露試験を実施し,その結果,反応性骨材を使用したモルタルバーでの供試体では大きな膨張はなく,骨材の種類による差は見られなかった.また,偏光顕微鏡観察による結果,反応性骨材を使用したケースでは巨視的はひび割れが少数発生するのに対し,非反応性骨材を使用したケースでは微細なひび割れが多数生じることが判明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ASR促進膨張量試験についてはモルタルバーを用いた実験についてはほぼ順調に実施している.実験ケースについては養生槽を用いてのASR促進膨張量試験に加えて,屋外での暴露試験のケースも実施した.また,温度変化および湿度による影響の検証のための膨張量試験を新たに追加した.さらに,膨張試験にて使用した供試体を用いて,岩石学的検討として偏光顕微鏡観察を実施した.一方で,コロナ禍による人員不足の関係でコンクリートプリズムによる実験については今年度の予定を来年度とした.力学的性質の試験として,共鳴振動による動弾性係数の変化を測定し,ASR膨張と力学的性質の変化についての検証を行った.合わせて弾塑性FEM解析により実測の再現について実施することで,モデルを構築予定としている.

今後の研究の推進方策

前年度に引き続き,ASR促進膨張量試験については,長期養生による検証を行うため,人工的に作成した異なる地中環境下での各種膨張量試験を継続して実施する.また,供試体をモルタルバーに加えてコンクリートプリズムも追加し実施するものとする.力学的性質の試験については,前年度と同様にASR促進膨張量試験の供試体にて実施するものとし,新規のコンクリートプリズムの供試体についても動弾性係数を求めることとする.
化学分析についてはイオンクロマトグラフィーを用いて,各養生条件の供試体および土壌や地下水由来のイオンについて分析を行う.
岩石学的調査として,長期養生後の供試体にて蛍光顕微鏡および偏光顕微鏡観察を行い,供試体内部のASR反応性の違いについても調査する.
さらに,室内試験結果および橋脚補強効果の検証のために実施しているモニタリングデータを用いて,弾塑性FEM解析を実施しASR膨張と補強効果について検証し,全国で実施可能な補強工法について提案を行う.

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 実構造物を利用した厳しい施工条件におけるバサルトネットを使用した剥落防止工法の性能評価2023

    • 著者名/発表者名
      津田誠 , 上田信二 , 青木崇浩 , 鳥居和之
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: 45 ページ: 1546-1554

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 北陸地方の市町村の道路橋に対する維持管理の合理化に向けた課題の抽出と解決策の提案2023

    • 著者名/発表者名
      MIYAZATO Shinichi、FUKADA Saiji、TANAKA Yasushi、HANAOKA Daishin、ITO Hajime、SUZUKI Keigo、SUGITANI Shinji、UTSU Norihiro、IBAYASHI Kou、TSUDA Makoto
    • 雑誌名

      土木学会論文集

      巻: 79 号: 2 ページ: n/a

    • DOI

      10.2208/jscejj.F5-0089

    • ISSN
      2436-6021
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 舗装および橋梁への高性能舗装補修材を用いた簡易段差修正工法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      津田 誠、大矢 昌樹、増山 昇一郎
    • 雑誌名

      インフラメンテナンス実践研究論文集

      巻: 2 号: 1 ページ: 197-203

    • DOI

      10.11532/jsceim.2.1_197

    • ISSN
      2436-777X
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 市民協働と人材育成に立脚した橋のセルフメンテナンスモデルの分類と役割に関する検証2023

    • 著者名/発表者名
      浅野 和香奈、岩波 光保、津田 誠、子田 康弘、浦部 智義、岩城 一郎
    • 雑誌名

      インフラメンテナンス実践研究論文集

      巻: 2 号: 1 ページ: 21-30

    • DOI

      10.11532/jsceim.2.1_21

    • ISSN
      2436-777X
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ASR劣化フーチングと同一地中環境下における現地暴露試験によるアルカリシリカ反応の特徴とその膨張挙動に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      津田誠 , 湊俊彦 , 野村昌弘 , 鳥居和之
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: 44 ページ: 592-597

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地中環境下におけるコンクリートのアルカリシリカ反応の特徴とその膨張挙動に関する検討2021

    • 著者名/発表者名
      津田 誠,くぬぎ沙季,野村昌弘,鳥居和之
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: 43 ページ: 640-645

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 弱アルカリ性地下水が作用するASRにより劣化した地中構造物の反応性の検証2023

    • 著者名/発表者名
      津田 誠 , 亀井宥希 , 鳥居和之
    • 学会等名
      令和5年度土木学会全国大会第78回年次学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ASR により劣化した地中構造物の供用環境と現地暴露試験による反応性の検証2022

    • 著者名/発表者名
      津田 誠 , 加賀谷将伍 , 鳥居和之
    • 学会等名
      令和4年度土木学会全国大会第77回年次学術講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 地中環境下でのアルカリシリカ反応性と膨張挙動に関する検討2021

    • 著者名/発表者名
      津田 誠,加賀谷将伍,鳥居和之
    • 学会等名
      土木学会第76回年次学術講演会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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