研究課題
基盤研究(C)
本研究は、ポストテンション型プレストレストコンクリート構造のシース管内のグラウト充填状況を超音波探傷に基づいて、滞水状態・非滞水状態に関わらず高精度に評価することを目的とする。データ処理後の判定について定性的な判断となることを避け、機械学習と深層学習による自動判定を達成することを最終目標とする。弾性波の一つである超音波を用いるが、弾性波で非破壊評価をする場合は、シース管内の水の存在により探傷波形の信号レベルが大幅に減じられる。この問題を寄生的離散ウェーブレット変換によって解決する。また機械学習と深層学習による重層化された判断システムを構築することで高精度に充填レベルを判断する。
実橋で供用され、撤去後に切り出されたポストテンション型プレストレストコンクリート(PC)桁供試体に対しシース管のグラウト充填状況を評価する非破壊試験を行った。桁供試体は桁端部近傍から切り出されており、シース管の曲げ上げ部を含んでいる。この供試体に対して放射線透過試験を行い、シース管のグラウト充填状況を把握した。その結果、曲げ上げの端部付近に未充填部分、その他の領域に充填部分が存在することを確認した。また、この供試体に対し、スクリーニング技術となる1)ハンマー打撃による探傷、詳細点検技術となる2)超音波フェーズドアレイによる探傷を行い、それぞれの手法に特化して構築したAI判定技術によって自動的に判定した結果を確認した。AI判定技術は2022年度までに本研究で構築した分類器を適用した。サンプルデータは実橋で供用され、グラウト充填状態が判明しているポストテンション型PC桁供試体について、シース管へ入射した超音波波動および打撃波動記録を蓄積した。蓄積された波動記録は寄生的離散ウェーブレット変換に基づく波形のノイズ低減および特徴抽出を経て、学習データとされ、機械学習をベースとした分類器の構築に用いられた。放射線透過試験の結果を正解として、判定結果を照らし合わせたところ、未充填箇所についてはスクリーニング技術、詳細点検技術ともに判定が未充填として整合した。また充填箇所についてはスクリーニング技術と詳細点検技術で判定が分かれたが、詳細点検技術では充填と判定することが出来た。
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Bridge Safety, Maintenance, Management, Life-Cycle, Resilience and Sustainability Book Bridge Safety, Maintenance, Management, Life-Cycle, Resilience and Sustainability
巻: 1 ページ: 2247-2254
10.1201/9781003322641-279
Bridge Maintenance, Safety, Management, Life-Cycle Sustainability and Innovations
巻: -
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