研究課題/領域番号 |
21K04256
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
柴 錦春 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20284614)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 真空圧密 / 圧密理論 / 見掛け目詰まり / 粘土スラリー / 化学添加物 / バーチカルドレーン / 浚渫土 |
研究開始時の研究の概要 |
高含水比粘性土の場合、真空圧密は設計の効果に達しなかったケースが度々報告されている。その原因について、PVDに接する土のいち早く圧密による低透水係数土層の形成、所謂見かけ目詰まりと言われている。本研究はモデル試験と理論分析により、PVDユニットセル(一本のPVDとその影響領域)の見かけ目詰まりの主な影響要因:粘性土の初期含水比(w0)と間隙水の化学的性質(pH値と電気伝導率(Ec)等)の影響を定量評価し、PVDによる圧密理論にその影響を考慮できるようにする。さらに、化学物の添加による効果的な高含水比粘性土の真空圧密工法を開発する。
|
研究実績の概要 |
2022年度の研究は主に以下の二つの成果を得た。 (1)PVDユニットセルの圧密における見かけ目詰まりのメカニズムに関する微視的検討。直径60 mm、高さ20 mm のミニPVDユニットセル圧密後の試料から電子顕微鏡写真(SEM)観察用供試体を作成し、その微視的構造を検討した。観察にミニPVDユニットセル中、ミニPVD傍、ユニットセルの周辺の供試体を用いた。各供試体の水平面と垂直面それぞれのSEMイメージを取って、比較検討を行った。また、化学添加物の影響を検討するために、粘土試料間隙水中の濃度が0.1 M - 1.0 MになるNaCl、或いはCaCl2、或いは乾燥重量1-2%の石灰、2-4%のセメントをそれぞれ添加した。SEM イメージにより、添加物がない供試体の場合、明らかな局部的な変形による異方的な微視的構造がある。CaCl2 或いはセメント/石灰添加物がある試料の場合、土の微視的構造の異方性が低減し、凝集状構造になる傾向がある。そして、見かけ目詰まりの程度が低減した。 (2)羽付けPVDの挙動に関するモデル試験及びその圧密度の計算法。真空圧密プロジェクトにおけるPVD 周りの見掛け目詰まりの影響を減らすために、新しいタイプの PVD である羽付け PVD (WPVD)を開発し、その圧密促進効果を実験的検討した。実験に用いたモデルの直径は0.45 m、高さは1.0 mであった。モデルに4本のWPVDを設置した。また、有限要素数値解析 (FEA) を利用して、WPVDの効果に関する数値的な解析検討を行った。試験と解析結果により、WPVD は見かけ目詰まりの影響を軽減でき、通常の PVD より真空圧密の速度を加速する能力が高いことを明らかにした。最後に、等価ドレーン直径の概念を用いて、WPVD による圧密度の計算法 (式) が確立されました。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はほぼ計画通りに進んでいた。微視的土構造の観点から、PVD周囲見掛け見詰まりのメカニズムを明らかにした。また、見掛け目詰まりの影響を低減する方法として、粘土に凝集剤の添加と新しいドレーン材、羽付けPVD、の開発両面で検討し、成果が上げた。
|
今後の研究の推進方策 |
これからの研究計画 1.見かけ目詰まりの影響の定量評価。今までの研究で粘土に陽イオンを含む化学物質の添加により見掛け目詰まりの程度を低減できることを明らかにしたが、陽イオン濃度等を用いて、その低減の程度を定量的に評価するに達していない。続けてモデル試験と数値解析によって定量評価を試していく。 2.室内と現場データを収集し、提案した見掛け目詰まり現象を考慮できるPVD圧密理論の有効性をさらに検証する。
|