研究課題/領域番号 |
21K04258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
末次 大輔 宮崎大学, 工学部, 教授 (30423619)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | セメント改良土 / 劣化 / 健全度 / 弾性波 / 健全度評価 / 非破壊 |
研究開始時の研究の概要 |
沿岸部の軟弱地盤地帯で使用されるセメントや石灰混合処理粘土は,海水によるカルシウム溶脱作用を受けて強度や剛性が低下する。長期間使用されるセメント固化処理土を安全かつ適切に使用するにはその健全度を調査しそれを評価する方法が必要となる。本研究では弾性波を用いて粘土地盤中の固化処理土の劣化進行状況を原位置で定量的に把握する方法について検討する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は,セメント処理中を伝わる粗密波の受信波形に及ぼすセメント処理土の剛性の影響,ならびに計測される粗密波の速度に関する検討を実施した。本研究では,せん断波と粗密波を送受信可能なディスクトランスデューサーを用いて,円柱供試体(直径50mm,高さ100mm)の上下端面で粗密波を送受信する方法とした。セメント処理土供試体の作製条件は,セメント添加量は100および400kg/m3の2ケース,養生時間はそれぞれ7日~28日の4ケースとした。入力信号の周波数は100kHzとした。セメント処理土中を伝わる粗密波の受信波形の分析結果より,第1波以降の後続の波形では供試体側面を反射する波とせん断波の影響を受けていることが考えられた。また,供試体寸法の異なる処理土に対する実験結果より粗密波にも距離減衰が生じることを確認した。粗密波の減衰はセメント処理土の剛性に左右されることが明らかとなった。セメント処理土中を伝搬するせん断波速度を用いて推定した粗密波速度と,実測した粗密波を比較すると前者が実測値より小さく,さらに実測値は水中の音波速度に近いことから,計測される粗密波の速度はセメント処理土中の間隙水を伝わる粗密波のそれであること推察された。さらに,セメント添加量が400kg/m3でなおかつ養生日数が長い供試体では,粗密波速度の実測値が水中の音波速度よりも速くなる。したがって,粗密波速度が水中の音波速度よりも速くなる剛性が高い改良土では,改良土の骨格部分を伝搬すると考えられた。以上の実験結果より,飽和に近い状態のセメント処理土における粗密波の伝達特性を評価する場合は粗密波の伝搬経路が処理土の剛性の影響を受けることを考慮する必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度はセメント処理土の剛性に着目して,セメント処理粘土中の粗密波の伝達特性について検討した。対象とする処理土の剛性の大きさによって粗密波の伝わりやすい媒体が変わることが考えられた。一方で,粗密波の減衰と処理土の剛性に相関があることが示唆された。粗密波の減衰量から剛性を定量評価するための実験結果を取得する必要がある。さらに,処理土の内部構造と伝達特性の関係性について検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,飽和状態にありかつ剛性の異なる健全なセメント処理土中を伝達する粗密波の適切な送受信方法を確立し,処理土中を伝わる粗密波の減衰と剛性との関係を明らかにできる実験を行う。また,劣化が進行したセメント処理粘土の剛性や間隙構造と粗密波の伝達特性との関連性について検討する。
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