研究課題/領域番号 |
21K04261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
河井 克之 近畿大学, 理工学部, 教授 (30304132)
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研究分担者 |
麓 隆行 近畿大学, 理工学部, 教授 (30315981)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 締固め / 不飽和土 / 転圧 / 土/水/空気連成有限要素解析 / 土/水/空気連成解析 / 模型実験 |
研究開始時の研究の概要 |
河川堤防や道路盛土の様な陸上の地盤構造物は,地盤材料に「締固め」を行うことで施工されるが,構造物のスケールに依存して,締固め度の不均一性が生じる.この不均一性発現傾向を,地盤材料を土粒子~水~空気の三相混合体として精緻にモデル化した数値シミュレーションによって予測できる手法を確立する.ここでは,模型実験や実構造物での物理探査と比較することで計算精度向上を図り,現在は経験的手法に依存している設計施工プロセスの体系化を目指す.
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研究実績の概要 |
盛土造成時には,締固め施工を行うが大型の施工機械が開発され,造成の規模も大きくなってきた.この時,施工に用いる地盤材料の性質はJIS規格の突き固め試験によって求められるが,実際の施工は重機による転圧となる.締固め品質は,締固め荷重の与え方によって大きく異なることは良く知られており,室内試験と転圧を結びつける理論が必要となる.本研究では,締固めを初期値境界値問題として捉えることで,転圧を数値シミュレーションで表現することを試みる. 今年度の目標は,実物大盛土の転圧シミュレーションと実際の現場での締固め品質把握であった.まず,転圧シミュレーションとしては谷埋め盛土の複層転圧を取り上げた.実際に,宅地造成では締固め量が少なくなることから谷を埋める造成が良く行われるが,施工後の被害事例も多く報告されている.ここでは,いくつかの大きさの異なる仮想の谷埋め盛土を複層転圧する際の転圧荷重や転圧幅,1層当たりの層厚などを変化させ,得られる盛土の均一性について検討した.その結果,狭小な谷ほど,転圧による転圧進行方向の締固め品質にムラがあることが分かった.その後の上層の締固め時にも,その影響は残留することも分かった.また,大型の重機で転圧幅が大きくなると,転圧後の不陸は小さくなるものの,谷幅が小さくなるほどそ,締固め効果も小さくなった.これらの転圧による不均一性は,締固め曲線の乾燥側では最適含水比に近付くほどに大きくなっていった. また,実際の造成現場において物理探査によって内部の剛性や含水量の空間分布を計測した.これらは造成後に変状があった造成地であったが,変状の原因となる地下水が宙水となっている場合が多いことが明らかとなった.この宙水発生個所は,工事用施工道路として局所的に固く締固められた層の上や,沈砂池として利用していた箇所など,締固めが不連続となる箇所で生じていることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地で探査をする機会が多くあったことで,本研究で問題としている実締固め構造物内の不均一性を把握することができた.一方で,シミュレーションに関しては,計算が解析メッシュや初期含水状態に依って不安定になる原因を特定するのに時間を要し,当初予定していた解析ケースの内,実施できなかったものもあった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度,現地計測から分かった施工過程での締固め品質の不連続性がその後の構造物の品質に及ぼす影響についてシミュレーションで明らかにしていく.
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