研究課題/領域番号 |
21K04262
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
伊藤 譲 摂南大学, 理工学部, 教授 (30281752)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 汚染土壌 / 凍結融解 / イオン交換反応 / 寒暖差 / 重金属 / 鉛 / 酢酸 / 土壌洗浄 / 放射性物質 |
研究開始時の研究の概要 |
汚染土壌の課題は、その細粒分の洗浄の難しさにある。申請者は、細粒分の汚染土壌の洗浄浄化を目的として、凍結融解現象を利用した浄化技術の基礎的研究を続けてきた。これまでに、水溶性の物質やイオン交換作用により脱着される物質では、土壌間隙の僅か2~4倍程度の量の洗浄液で効率的に洗浄できる可能性があることがわかっている。ところが、コスト面の課題のために実用化までに進んでいなかった。 本研究の特徴は、コスト面の解決の方法として、冬季の寒冷な気候を利用することにある。そうすることで、重金属等で汚染された土壌が、多数回の凍結融解を繰り返すことで洗浄できる可能性が開かれる。
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研究実績の概要 |
土の凍結融解による凍上現象を利用して汚染土壌表面に洗浄液の水流が発生することを利用した汚染土壌の浄化修復工法を検討している。この方法の特徴は、通常の洗浄方法では洗浄液の駆動力を加える必要があり、コスト的に大きな負担となる。それに対して、凍上現象は寒暖差を利用するので、気温が氷点下以下に低下させて後に融解するだけで発生するものであり、自然界の寒暖差を利用するのであれば、エネルギーコストは発生しない。これまでにカリウム(軽金属)に対して凍結融解とイオン交換反応による洗浄が可能であることが示されている。 本研究ではPb等の重金属で汚染された土壌に対して、自然界における寒暖差を利用して洗浄液の水流を発生させ土粒子表面に吸着されているPbを洗い出すことを期待している。これまでに、希釈した酢酸を洗浄液として、温度勾配、冷却速度等の条件を変化させた凍結融解の繰り替えし実験を行ってきた。 その結果は以下のとおりである。①凍結融解の繰り返しによって、ほぼ一定の割合で土壌は洗浄されていく。実験期間では明らかでないが、最終的にはほぼ全てのPbが除去できる結果が得られている。②排出されるPbは、模擬汚染物資として加えられたものと土壌に本来から含まれるものとで量的に優位な違いが認められない。③洗浄液を加えない場合には排出されるPb量が極端に少ない結果となったので、水による凍結融解だけでは洗浄できないことが確認された。 今回の研究では、装置の破損による修理作業に時間を要したため、凍結融解の繰り返し実験における追試験が十分に実施されたとは言えない。今年度は主として昨年度の追実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
凍結融解実験装置の破損による修繕に5か月程度の時間を要したため長期の繰り返し実験が実施できなかったことに原因がある。 装置は熱伝導性の良いアルミニウムと断熱性を有する塩化ビニールやアクリル部品から構成されている。そのどれもが難質の材料であり、その接続と固定に硬質のステンレススチールの材料を用いているため、部品の組み立て過程で破損しやすい。このことは実験担当者に教育されているが不十分であった。一旦、装置を交換すると連続する実験の工程の引き直しにつながり、半年程度の実験が行われなかった。 また、分析においては、排水中のPbの分析結果に対して、土壌に残留しているPbが反対の結果が得られている。この原因も不明であるので検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の追試験として、最優先として15回程度の凍結融解実験を2セット、合計4ヶ月が必要である。その比較実験として、変水位透水試験装置を用いた、洗浄液を純水と酢酸の2種類として、各2か月の実験を2セット実施する。さらに、温度勾配、冷却速度の影響を把握するための凍結融解実験を4セット2か月実施する。
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