研究課題/領域番号 |
21K04283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 徳山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡辺 勝利 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 教授 (00191750)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 縦桟粗度 / 吸込み操作 / 縦渦構造 / 複断面開水路流れ / 流れの可視化 / 摩擦抵抗軽減 / 間欠性と小規模化 / 乱れエネルギーの生成項 / 複断面開水路 / 吸い込み操作 / 斜昇流 / 流れの制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,壁乱流において流れ場の形成に重要な縦渦構造に注目する。縦渦構造は乱れの生成や流れの抵抗に直接的に寄与するので,その制御は重要な工学的課題である。この縦渦構造は,壁面上に時空間的にランダム形成されるため,その制御は極めて困難である. 本研究では,縦渦構造の形成領域を時空間的に固定させ,その吸い込み操作による縦渦構造の時空間的な特性を流速計測と流れの可視化によって明らかにする。このために,複断面流れ,底壁面に桟型粗度を有する直線開水路流れの2つの流れ場を対象して,実験を行う.そして,その成果を踏まえて,流れの抵抗軽減を試みる.
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研究実績の概要 |
壁乱流には様々な組織構造が形成されることが知られている.その中でも縦渦構造は主流速の分布特性や乱れの生成に主要な役割を果たしていることから,それを制御することにより摩擦抵抗軽減を可能にする乱流制御の試みが精力的に進められている. 本研究の目的は,壁乱流において縦渦構造の形成領域を集中させ,その吸込み操作に伴う流れ場の特徴を流れの可視化法,流速計測法を用いて明らかにすることである.そして,その知見を踏まえて流れの摩擦抵抗軽減を試みることにある.これを踏まえて本研究では以下の3つの課題を遂行する. その1つは,複断面開水路流れにおいて,高水敷先端部に集中して形成される縦渦構造を吸込み操作によって消滅あるいは減衰させることができるか明らかにする.また,吸込み操作に伴う主流速や二次流等の分布,および乱れの分布の変化を明らかにする. ②開水路底壁面に流れ方向に設置した並列した複数の桟型粗度上に,集中して形成される縦渦構造を吸込み操作によって,その発達を抑制することができるかを明らかにする.また,それに伴って境界層の発達が抑制されていることを流れの可視化法,流速計測法によって明らかにする. ③船舶模型を作成し,その底面に流れ方向に吸込み機能を有する桟型粗度を設置し,吸い込み操作を行う.これに伴い流れの摩擦抵抗軽減にどの程度寄与するかを明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は,2つの項目について検討した.その1つは,吸い込み機能を有する縦桟粗度を設置した開水路流れにおいて,吸い込み領域を上流のみにした際の流れ場の特徴を検討した.その結果,縦桟粗度上の顕著な上昇流は半水深位置までしか形成されず,対を成す旋回流は消失することが明らかとなった.また,鉛直方向レイノルズ応力-uvは,吸い込み無,全領域吸込みと比較して,減少することが明らかとなった.これに伴い,-uvによる乱れのネルギー生成項ーuvdU/dyも減少することが認められた.これより,吸い込み操作を半分することにより,上流の境界層の発達が遅れ,縦渦構造の発達が抑制され.乱れエネルギの生成が抑えられ,省エネルギー化が図られたと推察された.2つ目は,底面に波板を設置した船舶模型(長さ180cm,高さ20cm,幅20cm)を作成し摩擦抵抗軽減を試みた.波板は流れ方向に設置し,凸面及び凹面に幅3㎜,長さ2cmの穴を1cm間隔であけ,その穴から吸込み操作ができるようにした.これは,縦渦構造を波板の凸面,凹面に固定し,それを吸いこむことによって,摩擦抵抗軽減を狙ったものである.実験の結果,適当な吸い込み流量を設定すると,摩擦抵抗が16%減少することが明らかとなった.吸込み流量が多い場合には,摩擦抵抗が増加した.これは吸込み速度が大きくなることによって,壁面上のかく乱が大きくなり,縦渦構造がより発達したものと考えられる.しかし,底面の穴から均等に吸込みを行うことができていないことが明らかとなり,これが次年度の課題となった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,底面が滑面の船舶模型(長さ220cm,幅20cm,高さ10cm)を用いて,摩擦抵抗軽減の実験を行う.底面には幅3mmの穴が1cm間隔で空けられている.前年度において底面に開けられた穴からの均等な吸込みを可能にするために,底面を2重にして,シャッター方式とする.穴の開いた底面は固定されており,内側に同じ穴の開いた板を取り付け,2つの板の穴の位置が重なった際に,底面から水が吸い込まれる.穴の位置をずらすと吸込みが止まる.このシャッター付の船舶模型を用いて以下の事項を検討する.1つ目は,低速開水路流れ(幅60cm,長さ10m,高さ15cm)において,一定吃水深に保って船舶模型を設置し,船舶上流からトレーサを注入し,船舶底面に形成される縦渦構造の形成状況を確認する.次にシャッターを開けた際に吸込みに伴って縦渦構造が吸い込まれる状況を確認する.2つ目は,同流れ場において,シャッターの開閉に伴う速度分布の相違を確認する.3つ目に,吸い込み操作を上流半分領域のみ行い,縦渦構造の形成状況,流速分布の特徴を確認する.4つ目に,高速開水路(幅40cm,高さ40cm,長さ8m)において,同船舶模型を設置し,模型先頭部にニュートンメーターを取り付け,吸い込みに伴う,摩擦抵抗軽減量を確認する.また,吸い込み領域を上流半分のみにして摩擦抵抗軽減を確認する.5つ目として,底面上に直径2㎜の円形粗度を流れ方向に複数本設置し,粗度の設置形態による摩擦抵抗軽減の相違を確認する.
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