研究課題/領域番号 |
21K04290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
奥嶋 政嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20345797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | テレワーク / 生活行動 / 道路網 / 地域間交流 / 出発時刻変更 / 経路選択 / 交通サービス水準 / 人口分布 / 余暇活動 / 携帯端末位置情報 / 居住地選好 / 立地誘導政策 / 都市構造 / 持続可能性 / 世帯異質性 / 社会的ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
地方都市圏における持続可能な都市構造の実現を目指して,立地誘導政策,都市交通政策およびテレワーク促進策を組み合わせた都市政策シナリオの評価を可能とする.このため,世帯の異質性と地域間交流を考慮した居住地選好モデルを構築する.さらに,居住地選好モデル,生活行動モデルを包含した「都市活動シミュレーションモデル」を構成する.これを適用して,交通利便性向上,温室効果ガス排出量削減に加えて,災害リスク低減などの多面的な観点から,各種の都市政策シナリオについて評価する.これより,世帯の異質性とその複雑な相互作用を考慮して,対象都市圏における持続可能な都市構造の実現に向けた段階的なシナリオを導出できる.
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研究実績の概要 |
1.対象都市圏を徳島東部都市圏として,設定した対象道路ネットワークと交通需要に対して,交通シミュレーションを適用して交通状況の現況再現を行った.経路分散パラメータを調整することにより,現況の観測交通量との整合性を確認した.概ね現況に整合した交通状況を再現できた.しかしながら,道路橋梁部における検証結果より,経路選択モデルにロジットモデルを採用しているため,IIA特性により重複経路を加重に評価した結果となっている問題点が明確となった. 2.対象道路網における主要区間の通行規制に関して,規制区間の通過車両への情報提供により出発時刻変更を誘導することで,交通需要を時間的に分散するとともに,周辺橋梁の道路区間において車線運用により交通需要に応じた交通容量とすることの効果を推計した.適切な時間分散と車線運用を組み合わせることで道路網および隣接橋梁における時間損失を低減できる可能性を示した.時間的平準化の対象時間の短縮,出発時刻変更幅の制限など,交通需要の時間的分散を適切に制約することにより,道路網全体の交通需要を分散できる可能性があることが検証された. 3.地方圏におけるテレワークによる生活行動変化に関するアンケート調査結果データを用いて,対象都市圏への適用に向けて,それぞれのモデルを連動して適用可能とする構成とするとともに,大規模データベースに含まれている説明変数を採用して,テレワーク利用意向モデルおよびテレワーク利用による付加的活動モデルにおけるそれぞれのサブモデルを再構成した.これを対象都市圏に適用して,テレワーク普及による影響を推計可能とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全般に考慮不足の点があり,追加的な時間をかける余裕もなかったため,進捗に遅れが生じた. テレワーク意向モデルおよびテレワーク利用による付加的活動モデルの再構成については,連動させる形式として実行できた.対象都市圏における推計に関しては,ピーク時においては適用可能としたが,他の時間帯における推計に課題が残されている. 携帯端末位置情報データを用いた地域間交流の分析に関しては,コロナ禍後のデータを用意して分析を開始したが,十分には進捗できていない. 世帯特性を考慮した居住地選好モデルの構築については,地域間交流を含む居住地選好モデルに再構成することが課題として残されている.また,居住地選好に関わる各種要因を特定できているが,テレワーク促進政策に対する居住地選好特性を把握することも課題として残されている. 居住選好モデルと生活行動・交通ネットワークシミュレーションモデルの統合は課題として残されている.
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今後の研究の推進方策 |
1.テレワーク促進政策に対する付加的活動での時間利用の変化を推計可能とするために,テレワーク利用による付加的活動モデルを更新して生活行動モデルに統合することで,テレワーク利用を含む1日単位での生活行動を推計可能とする. 2.世帯特性と地域間交流を考慮して,携帯端末位置情報データを用いて生活行動モデルを再構成することにより,対象都市圏における適用を可能とする.交通ネットワークシミュレーションモデルと統合して,道路交通における交通渋滞,旅行時間,温室効果ガス排出量などの推計を可能とする. 3.世帯の異質性を表現するために階層ベイズモデルを適用することに加えて,地域間交流を含む社会的ネットワークを考慮した居住地選好モデルを構築する.都市政策シナリオに対する居住地選好の結果として,地価変動との相互作用も考慮して人口分布の推移を推計可能とする. 4.居住選好モデルと生活行動・交通ネットワークシミュレーションモデルを統合して,都市活動シミュレーションモデルを構成する.居住地選好による人口分布と段階的な都市政策シナリオを更新することで,将来に至る持続可能性評価を可能とする.各種政策を組み合わせた段階的な都市政策シナリオについて,都市活動シミュレーションモデルよる複数ケースについての推計結果から,持続可能性の評価指標を多面的に比較評価する.これより,対象都市圏における都市政策シナリオの適切な組み合わせを特定する.
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