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山地河川における環境配慮型の河道改修手法に向けた研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K04316
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分22060:土木環境システム関連
研究機関九州産業大学

研究代表者

佐藤 辰郎  九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (20711849)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード山地渓流 / UAV / Step-Pool / 平面2次元水理解析 / 淡水魚類 / 山地河川 / ステップ-プール構造 / 水位観測 / 木本 / 山附川 / 巨石 / 縦断水位観測 / 魚類群集 / 生物群集 / グリーンインフラ
研究開始時の研究の概要

日本の国土の70%は山地であり,中山間地域に多くの山地河川が存在するが,治水と環境の両立した河川管理手法は確立されていない。平地河川と比較して,山地河川の研究は限られており,環境に配慮した山地河道の改修も数件程度に留まっているのが現状である。そこで本研究では,環境配慮型の河川改修手法が導入された山地河川,自然河川,人為の影響を受けて環境が劣化した河川を環境・治水の両観点で比較し,導入されたされた手法の効果と課題を明らかにすることを目的とする。その成果を基に,水理模型実験によって具体的な設計指針としてまとめ,環境機能と治水機能を両立させた山地河川改修手法の確立を目指す。

研究実績の概要

今年度は,前年度に引き続き平成17年の台風被害後に山地河川における先進的な多自然川づくりが実施された宮崎県高千穂町の山附川にフォーカスし,詳細な現地調査と解析を実施田した。山附川にフォーカスした理由としては,2022年9月に台風14号が到来し,平成17年に河道が被災した際と同程度の大規模出水が発生したため,データが極めて限られている大規模出水前後の山地河道の変化状況をモニタリングできるからである。
2023年8月に山附川と参照河川である跡取川において,魚類調査と物理環境調査を実施した。その結果を2022年台風14号で被災する前の2021年の調査結果と統計的に比較することで,大規模出水によって生息する魚類が有意に減少したことを明らかにした。また,その要因として,出水による直接的な流出のほか,河床洗堀に伴って岩盤が露出する面積が増加したことが要因であることが示唆された。
また,2022年度出水前後で撮影したUAV(Unmanned aerial vehicles)空撮画像の分析によって明らかとなった巨石の移動状況について,河川管理への応用を視野に入れて,巨石の移動状況と水理条件を対応させることで,急流河川に存置された巨石の移動条件を明らかにした。具体的には,大規模出水に伴う巨石の移動観測結果と平面二次元水理解析で求めた出水時の水理条件から,移動条件を求めることを試みた。その結果,相対水深と巨石の存在形態(単体/非単体)が巨石の移動に有意に影響を与える変数であることが分かった。モデルの予測精度はあまり高いとは言えないが,相対水深と巨石の移動,また,巨石が単体で存在することの影響を定量化することができた。本研究の最終目標である環境機能と治水機能を両立させた山地河川改修手法に関する具体的な設計指針に繋がる研究成果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度の調査によって,令和4年9月の台風14号によって研究対象である山附川の河道を大きく改変する大規模出水が発生し,その事後データとして魚類の生息状況と物理環境のデータが得られた。これによって山地河川における大規模出水前後の生物・物理環境データが揃い,我が国のみならず世界的にも貴重なデータが得られた。また,現地の詳細な水理データが得られたことで,今年度は再現性の高い詳細な水理モデルが構築することができた。巨石の移動と水理条件を定量的に結びつけることができたため,河川管理への提案に繋がる成果となった。以上のことから,当初の計画以上に研究が大きく進展したといえる。

今後の研究の推進方策

大規模出水前後の魚類と物理環境,水理条件に関する希少なデータが得られたため,今後も現地調査を継続し,大規模出水からの河道の変化・回復過程を追っていきたい。また,最終年度として,これまで得られた生物データや巨石と水理条件の関係性に関するデータをまとめ,今後の山地河川の管理や復旧に向けた指針づくりに提案していきたい。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Universiti Tun Hussein Onn Malaysia(マレーシア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Back-Calculation of Manning’s Roughness Coefficient by 2D Flow Simulation and Influence of In-Channel Physical Parameters in a Mountain River, Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Takata Hiroshi、Obata Shogo、Sato Tatsuro、Shimatani Yukihiro
    • 雑誌名

      Water

      巻: 16 号: 2 ページ: 320-320

    • DOI

      10.3390/w16020320

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Keystone 設置による渓流再生手法の有効性—山附川改修後 10 年の変化2023

    • 著者名/発表者名
      髙田 浩志、佐藤 辰郎、劉 義涛、島谷 幸宏
    • 雑誌名

      河川技術論文集

      巻: 29 号: 0 ページ: 263-268

    • DOI

      10.11532/river.29.0_263

    • ISSN
      2436-6714
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 2017年九州北部豪雨後の山地河道の地形および河床材料の変化2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤 辰郎、伊豫岡 宏樹、坂元 竜太郎、髙田 浩志
    • 雑誌名

      河川技術論文集

      巻: 28 号: 0 ページ: 19-24

    • DOI

      10.11532/river.28.0_19

    • ISSN
      2436-6714
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] カメラ画像を用いた河川・水路の水位計測システムの開発2024

    • 著者名/発表者名
      池田康志,吉田昴洋,佐藤辰郎
    • 学会等名
      GIJ2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 中小河川におけるIoTセンサーを用いた河川縦断水位の高密度観測2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤辰郎,吉永悠人,吉田昴洋
    • 学会等名
      GIJ2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 多自然川づくりが実施された急流河川における大規模出水の影響評価2024

    • 著者名/発表者名
      甲斐貴大,佐藤辰郎
    • 学会等名
      GIJ2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 段階的に間伐整備が進む森林における洪水流出率の経年変化2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤辰郎,太田航輔
    • 学会等名
      GIJ2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Keystone設置による渓流再生手法の有効性―山附川改修後10年の変化2023

    • 著者名/発表者名
      髙田浩志, 佐藤辰郎, 劉義涛, 島谷幸宏
    • 学会等名
      2023年度河川技術に関するシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 山地河川における河道復旧の課題について2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤辰郎
    • 学会等名
      河川生態学術研究会筑後川現地視察会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] STIV 法による流速推定の精度向上に向けたカメラの設置・撮影方法2023

    • 著者名/発表者名
      今橋龍洸,吉田昴洋,佐藤辰郎
    • 学会等名
      令和4年度土木学会西部支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 令和2年7月球磨川水害で被災した神瀬地区における避難の実態と ボトムアップ型IoT防災の課題2023

    • 著者名/発表者名
      金子花奈,吉田昴洋,佐藤辰郎
    • 学会等名
      令和4年度土木学会西部支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 山地河川における多自然川づくり後の植生の変化2023

    • 著者名/発表者名
      池上翔哉,佐藤辰郎,高田浩志
    • 学会等名
      令和4年度土木学会西部支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 球磨盆地を対象としたLoRaWAN基地局の最適配置の検討2023

    • 著者名/発表者名
      江崎公信,吉田洋昴,佐藤 辰郎
    • 学会等名
      令和4年度土木学会西部支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 2017年九州北部豪雨後の山地河道の地形および河床材料の変化2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤辰郎,伊豫岡宏樹,坂元竜太郎, 髙田浩志
    • 学会等名
      2022年度河川技術に関するシンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 流域治水とグリーンインフラ -多自然川づくりを超えて-2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤辰郎
    • 学会等名
      九州産業大学景観研究センター・景観セミナー/レクチャーシリーズ2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 画像解析による汎用的水位計測システムの開発に向けた基礎検討2021

    • 著者名/発表者名
      岩本直暉,佐藤辰郎,篠塚賢一
    • 学会等名
      令和3年度土木学会西部支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 社会基盤と生態系保全の基礎と手法(うち,コラム②地質と河川)2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤辰郎(皆川 朋子編)
    • 総ページ数
      196
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      4254261756
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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