研究課題/領域番号 |
21K04336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
櫻井 真人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (60710184)
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研究分担者 |
菅野 秀人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20336449)
西田 哲也 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (40315627)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 鉄筋コンクリート造部材 / オンライン仮動的実験 / FEM / サブストラクチャ / 有限要素解析 / 応答計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は建築・土木系の鉄筋コンクリート(RC)構造物の構造実験の主要な手法であるオンライン仮動的実験手法に対し,応答計算に非線形有限要素法(FEM)解析データを逐次反映させながら実験を遂行することで想定建物の形状の制限を取り払い,応答結果のさらなる精度向上を図る。本手法確立により設計者の設計自由度の向上や新構法開発,構造実験結果精度向上による現行設計法改正への寄与を目的としている。研究ではRC建物をモデルとしたオンライン仮動的実験にて,一部の部位をFEMによりモデル化,各実験モジュールとの同期を確立し制御フローを構築する。そして応答実験を行い従前実験手法の結果との比較によりその精度を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では,サブストラクチャ部の数値計算モデルにFEMソルバを用いたサブストラクチャ仮動的実験法に対し,当該応答結果と真の応答や従前手法との対応精度を検証することで,鉄筋コンクリート(RC)造建物における形状制約のない次世代型仮動的実験手法を広く提案することを目指すものである。RC架構を並列1自由度系に置換し,性能検証したい部材を構造実験試験体,その他の部位をFEMモデルとしてサブストラクチャ化することで振動モデルを構築する。実験では振動モデルの応答計算モジュール,FEMモデルの数値計算モジュールとジャッキ制御モジュールとの同期を確立し仮動的実験を実施する計画である。これまでに実験時試験体を再現しうる3次元FEM解析モデルの構築ならびに各種シミュレーションを実施し開発手法の実現可能性の検証などを行ってきた。本年度においては開発手法の精度検証の基となるリファレンスデータを得ることを目的としたRC造曲げ柱およびせん断柱実試験体の2体同時載荷実験を実施した。しかしながら実験の結果,RCせん断柱が変形角R=1/200レベルで予期しないねじれ挙動を呈したことで載荷計画中途で中止したため,想定した地震波に対する応答挙動を得ることができなかった。今後は載荷装置のねじれ挙動抑制機構の改善ならびに同一条件での再実験を急ぐとともに,当初計画していた2シリーズの実験を遂行することで開発手法の精度検証を行う方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は開発手法の精度検証のためのリファレンスデータを得ることを目的としたRC造曲げ柱およびせん断柱実試験体の2体同時載荷実験を実施した。しかしながら実験の結果,RCせん断柱が変形角R=1/200レベルで予期しないねじれ挙動を呈したため,載荷計画中途で中止し想定した地震波に対する応答挙動を得ることができなかった。原因として,R=1/200付近でせん断柱が最大耐力に達したが,その際に生じたひび割れ等の大きな損傷によって,断面レベルの応力分布が不均一ならびに偏芯した結果,変形の進行に伴いねじれが増大するようになったものと推察される。また,RCせん断柱は最大耐力以降の載荷領域において大幅な耐力低下を呈するため,実験遂行に支障をきたすほど不安定な挙動になりやすい。安定した実験遂行のために載荷装置には実験時に生じるねじれ挙動を抑制する機構があるが,今回の実験ではその効果が不十分であったことも一因である。 今後は載荷システムの改善ならびに同一条件での再実験を急ぐとともに,計画していた2シリーズの実験を遂行する方針である。
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今後の研究の推進方策 |
実験中止の原因として,R=1/200付近でせん断柱が最大耐力に達したが,その際に生じたひび割れ等の大きな損傷によって,断面レベルの応力分布が不均一ならびに偏芯した結果,変形の進行に伴いねじれが増大するようになったものと推察される。 RCせん断柱は最大耐力以降の載荷領域において大幅な耐力低下を呈するため,実験遂行に支障をきたすほど不安定な挙動になりやすい。安定した実験遂行のために載荷装置には実験時に生じるねじれ挙動を抑制する機構があるが,今回の実験ではその効果が不十分であったことも一因である。 今後は載荷システムの改善として,載荷装置のねじれ挙動抑制機構の強化とその他ねじれ防止の措置を検討・改善を施すとともに,同一試験体の再制作と2体同時載荷実験を再度実施する。また同時にFEM数値計算モジュールとジャッキ制御モジュールに対してプログラムとしての信頼性改善を図るとともに,計画していた2シリーズの実験を遂行する方針である。
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