研究課題/領域番号 |
21K04352
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 幸平 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (20283674)
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研究分担者 |
北守 顕久 大阪産業大学, 工学部, 准教授 (10551400)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 平三斗 / 大斗 / 巻斗 / 枠肘木 / クーロン摩擦 / 木ダボ / 等価粘性減衰定数 / 上載荷重 / 畳斗 / 重層斗きょう / 木質ダンパー / 静的正負繰り返し実験 / 正弦波掃引振動実験 / 減衰定数 / 等価剛性 / 扶壁きょう |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、北宋再建の木造寺院に見られる石柱の上に斗きょうを多層積層した畳斗(じょうと)構造と、梁上の斗きょうを柱と柱の間に何組も配置した扶壁きょう(ふへききょう)構造を研究対象とする。これらの構造は地震荷重を受けた際、斗が角度変化を起こし、横架材と接触してめり込み変形を生じ、両者間の摩擦抵抗やダボのめり込み及びせん断抵抗によって大きな塑性変形能力を発揮し、一種の木質ダンパーとして機能すると推察される。そこで畳斗構造と扶壁きょう構造のモデル試験体を作成して、上載荷重を加えつつ静的正負繰り返し実験を行い、これらの構造要素の持つ「木質ダンパー」としての構造性能を定量化する。
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研究実績の概要 |
本年度は研究計画書に記載した通り中国寧波市に現存する保国寺大殿(北宋1013年再建、築1010年)の内陣南側壁面を斗きょうと横架材だけで構成している壁構造(扶壁きょう)を研究課題と定め、その構造形態をモデル化した試験体を創作して扶壁きょうの構造メカニズムの一端を解明することを目指して、静的正負繰り返し加力実験を行った。 モデル試験体の構成は柱に見立てた軽量溝型鋼2本を反力フレーム下部にピン接合し、3本の桁を所定の位置で水平抵抗が起きないように長穴支点でボルト支持し、桁間の所定の位置に平三斗を配置した。大斗尻と桁間は木ダボで固定したが、巻斗と桁間は伝統木造建築における施工上の慣習に従って木ダボ固定はしなかった。正負交番水平荷重は最上桁の重心位置に与え、一定上載荷重はジャッキ全体がスムーズに水平移動できるローラーを介して与えた。実験パラメータは平三斗の配置を2層2列、2層1列、1層2列、1層1列の4種類、上載荷重をP=15 kNとP=30 kNの2種類とした。平三斗はヒノキ製材製で、桁はヒノキの異等級構造用集成材E120f330とした。 モデル試験体の復元力特性は、梁と巻斗間のクーロン摩擦に起因する矩形履歴特性が主で、線形的な木ダボの剪断抵抗がそれに続く要因であろうと推定された。当初予想した大斗や巻斗の回転めり込み抵抗は非常に小さかったが、完全にゼロではなかった。辷り発生後の等価粘性減衰定数は30~55%という高い値を示したが、純クーロン摩擦の場合の64%には及ばなかった。モデル試験体の高い減衰性能と特異な復元力特性を見ると、古代木造寺院建築に使用されていた扶壁きょうは摩擦ダンパー的な役割を演じていたのではないかと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた「モデル扶壁きょう」の静的正負繰り返し加力実験は概ね順調に推移し、モデル試験体の主たるせん断抵抗要因が斗と横架材間のクーロン摩擦であり、エネルギー吸収能力が非常に高いという興味深い結果が得られたことは大きな収穫であった。 また、2021年度に実施した「重層斗きょうの力学的性能に関する研究」の成果を取り纏め、それを2023年6月にノルウェーで開催される木構造国際会議に口頭発表すべく投稿したところ会議録論文(プロシーディング)として採択された。
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今後の研究の推進方策 |
2023年6月に開催される木構造国際会議において2021年度に実施した「重層斗きょうの力学的性能に関する研究」を口頭発表する予定である。また残り10ヶ月程度の間に、2022年度に実施したモデル扶壁きょうに関する実験結果を数値解析によって精度良く再現できる有限要素モデルを開発し、国際的な研究雑誌に論文を投稿することを目標とする。
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