研究課題/領域番号 |
21K04359
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
山本 憲司 東海大学, 建築都市学部, 教授 (70311884)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 隙間なし天井 / 野縁受け / 吊りボルト / 座屈 / 特定天井 / 座屈耐力 |
研究開始時の研究の概要 |
地震時に天井面脱落の被害が多くことを受けて、天井に関する技術基準が整備されつつある。壁との間に隙間を設けない隙間なし天井は、地震による水平慣性力を周囲の壁に直接伝達するために、壁からの圧縮反力を受けて天井面が座屈して耐力に至る。天井面を吊り下げている吊りボルトが座屈補剛の役割をするが、吊りボルトの耐力や剛性が小さい為に十分な補剛効果が得られず、その状態に応じて天井面の座屈長さが変化する。本研究は、吊りボルトが隙間なし天井の破壊挙動に与える影響を明らかにし、実験によらずに手計算によって算定が可能な隙間なし天井の面内圧縮耐力式を提案することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
隙間なし天井の吊りボルトによる座屈補剛効果を明らかにすることを目的として隙間なし天井の圧縮実験や数値解析を行った。本研究では特に野縁受け方向の座屈挙動を調査した。 本研究では野縁受けと石膏ボードがともに吊りボルト間で面外座屈する「吊りボルト間座屈」と、野縁間で野縁受けが面内座屈、石膏ボードが面外座屈する「野縁間座屈」の2つの崩壊モードを考慮して耐力式を提案しているが、昨年度までに実験を行なった試験体は両方の耐力の値がともに近い試験体となっており、耐力式の妥当性を示すことが出来ていなかった。そこで2つの耐力が比較的大きく離れた試験体を複数作成して実験を行った。その結果、いずれの試験体でも予測通りの座屈モードで崩壊し、耐力式の妥当性を確認することができた。 耐力式の修正を行った。吊りボルト間座屈は吊りボルトの軸剛性に対して連続的に耐力が変化するように直線補間を用いた式に変更した。また、野縁間座屈の耐力式は野縁受けと石膏ボードの座屈荷重の和としていたが、どちらかが座屈する時点を耐力とするように修正した。これにより実験結果との対応が改善された。野縁受けが開断面であるため曲げねじれ座屈を生じる可能性について検討し、その可能性は小さいことが分かった。 野縁間座屈については、野縁受けと石膏ボードをともに壁に接触させた場合と、石膏ボードのみを壁に接触させた場合の耐力について、それぞれ検討を行っている。ともに接触させた場合では、石膏ボードの慣性力は、野縁とクリップを通して、一部が野縁受けに伝達される。その大きさを解析により明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
吊りボルト間座屈と野縁間座屈の2つの耐力が離れた試験体となるように設計し直して再度実験を行った。このため、当初予定していた2023年度内に研究成果を査読論文にまとめることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
耐力式では天井面の曲げ剛性を野縁受けと石膏ボードの曲げ剛性の単純和としているが、実験により実際にはこれよりも1.4倍ほど大きな曲げ剛性であることが分かっている。耐力式の精度を上げるために、天井面の曲げ剛性の評価方法について改善できないか検討を行う。 これまでの研究成果を査読論文にまとめて投稿する。
|