研究課題/領域番号 |
21K04361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
富澤 徹弥 明治大学, 理工学部, 専任講師 (30774773)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 風力発電 / 風力発電設備支持物 / 加速度 / 制振 / TMD / スペクトル / 時刻歴応答解析 / 定点理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,風力発電設備支持物に発生する日常的な振動に対して,部材応力や疲労損傷 度の低減を図ることを目的とした振動制御技術の開発を行う。 日常的に発生する振動は,鋼構造が多く採用されているタワーにおいて,金属の低サイクル疲労による劣化の原因になり得るとされている。近年,風力発電設備の事故も多くなってきており,低サイクル疲労が事故要因のひとつとも考えられている。そこで,本課題では制振装置を用いて,発電時のタワーの常時振動を低減することで,低サイクル疲労を抑制すること目的とする。
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研究実績の概要 |
本課題では,風力発電設備支持物に発生する日常的な振動に対して,部材応力や疲労損傷度の低減を図ることを目的とした振動制御技術の開発を行っている。風力発電設備は一般的な建築物とは異なり,発電するためには風を受けて稼働する必要があり,これに伴いブレードを含む発電設備を支持する構造物(以下,「タワー」と呼ぶ)は常に振動状態にある。このような日常的に発生する振動は,鋼構造が多く採用されているタワーにおいて,金属疲労による劣化の原因になり得るとされている。近年,風力発電設備の事故も多くなってきており,疲労が事故要因のひとつとも考えられている。そこで,本課題では制振装置を用いて,発電時のタワーの常時振動を低減することで,疲労を抑制することを目的とする。 2021年度は実存する風力発電設備タワー部の複数箇所に加速度計を設置し,各点における応答加速度を計測した。加速度計は計4台とし,主にタワーの継手フランジ付近のステージ周辺の側面,高さ方向としてはGL-1.65m(基礎コンクリート上), GL+16.39m, 40.15m, 61.09m(ナセル直下のヨーフロア)の位置に設置した。計測は毎時00分および30分から5分間の計測を行い,3軸方向の加速度を取得しており,既設システムであるSCADAデータから,発電量,風速,風向,ナセル角度等の1秒データも取得している。 2022年度は,実測による結果を基に振動モデルを構築し,停止時,年平均風速時,定格風速時のそれぞれの場合について,単一TMDおよび多重TMDの制振効果を検証した。最も頻度の高い年平均風速時において,応答加速度のRMS値は概ね15%低減され,応答変位のRMS値は50%を超える低減効果が得られ,多重TMDの振動低減効果を確認した。 計測は2021年度より継続的に実施しており,今後も余寿命評価に資するデータを蓄積する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は実存する風力発電設備タワー部の複数箇所に加速度計を設置し,各点における応答加速度を計測した。計測は毎時00分および30分から5分間の計測を行い,3軸方向の加速度を取得しており,既設システムであるSCADAデータから,発電量,風速,風向,ナセル角度等の1秒データも取得している。これにより,2021年度の計画である「1)実存する風力発電設備における実測調査」と「2)取得データの振動特性の分析および時刻歴応答解析モデルの構築」は実施済である。 2022年度は,2021年度に構築した振動モデルを用いて,停止時,年平均風速時,定格風速時のそれぞれの場合について,単一TMDおよび多重TMDの制振効果を検証した。最も頻度の高い年平均風速時において,応答加速度のRMS値は概ね15%低減され,応答変位のRMS値は50%を超える低減効果が得られ,多重TMDの振動低減効果を確認した。これにより,2022年度の計画である「3)時刻歴応答解析によるTMDの振動低減効果の検証」による効果的な振動低減のための多点TMD制御の方法についての提案は実施済と判断する。また,2022年度の終わりより,多重TMDの対象モードや質量比などが応答性状に与える影響についての検証も始め,「4)実存する風力発電設備に用いるTMDの要求性能の検討」についても着手している状況にあるため,概ね順調に進展していると判断できるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては,今後少なくとも11月までの間は計測を継続し,設備の健全性診断,余寿命評価に資するデータを蓄積する予定である。 次年度は,年度計画のとおり,「4)実存する風力発電設備に用いるTMDの要求性能の検討」を行い,要求性能について整理し,得られた知見技術をまとめ,研究全体を取りまとめて成果を報告予定である。
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