研究課題/領域番号 |
21K04372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
福代 和宏 山口大学, 大学院技術経営研究科, 教授 (30346572)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | エネルギーマネジメント / 建築設備 / V2X / 定置型蓄電池 / 太陽光発電 |
研究開始時の研究の概要 |
V2Xとは,太陽光発電(PV)システムによる電力や夜間電力を貯めるためのバッテリーとして電気自動車(EV)を活用するという仕組みである。本研究では実証実験とシミュレーションを通して,地域・住宅・世帯属性・生活パターン別および観点(経済性重視/環境性重視)別に,PV・家庭用定置型蓄電池・EV等を連携したV2Xシステムの最適運用方法を探求する。また,V2Xシステムの社会実装を目的として,V2Xシステムの受容可能性の調査と温室効果ガス排出削減効果の予測を行う。そして,在宅時間増加,移動範囲縮小などコロナ禍による社会経済の変化を踏まえ,事業性のあるシステムモデルや導入プロセスを提案する。
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研究実績の概要 |
本研究のサブテーマの一つはV2X (Vehicle to Everything) システムの適切な運用の検討である。令和3年度に本補助金を用いて実証試験拠点(美祢青陵高校大気測定局)に模擬V2Xシステムを構築している。同システムは太陽光発電(PV)システム,リユースリチウムイオン電池を利用した定置型蓄電池,模擬EV,および電力負荷で構成されている。令和3年以降,同システムを経年的に稼働し,以下の成果・結果を得ている:(1) PVと定置型蓄電池の連携で,システムの電力自立/自律性は最大90%程度に向上,(2) 天気予報を利用して,PVの出力を前日に予測し,定置型蓄電池の充放電を制御する制御アルゴリズムを開発,(3) 定置型蓄電池の性能を表すState of Health (SOH)は6年間2173サイクルで11.7ポイント%低下 令和5年度は(3)に基づき定置型蓄電池の劣化予測モデルを開発し,結果を公表した。 本研究のもう一つのサブテーマはV2Xシステムの受容可能性調査である。この調査では,一般消費者の生活・就業実態,環境/省エネ/EVに関する知識・意識およびV2Xシステムの受容可能性を明らかにする。コロナ禍等の影響により実地調査が困難であったため,令和5年度は主として,新技術の受容性やエコマーケティングに関する研究事例を調査し,theory of planned behavior (TPB)等に基づく受容性の心理モデルの構築を行った。主としてvan Heuvelnらの研究に負うところが大きいが,V2Xの受容性に関しては金銭的メリットやSDG意識に加え,車載バッテリーの劣化,EVの走行距離への影響,ユーザーインターフェースの使いやすさ,充放電設備の場所の選定等の因子が強い影響を有している可能性が示された。今後はこれらの因子を踏まえたアンケート調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究サブテーマの一つ,V2Xシステムの適切な運用の検討については,予定通り模擬V2Xシステムを用いて通年の稼働試験を継続実施しており,定置型蓄電池の充放電制御する制御アルゴリズムやState of Health (SOH)の測定結果に基づく定置型蓄電池の劣化予測モデルの構築等の成果を得ている。 これに対し,別の研究サブテーマである,V2Xシステムの受容可能性調査については,コロナ禍とその余波の影響により,予定されていた国内外の実態調査が実施できず,令和5年度は主として,新技術の受容性やエコマーケティングに関する研究事例の調査にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
研究サブテーマの一つ,V2Xシステムの適切な運用の検討については,現有の模擬V2Xシステムを用いて,通年の稼働試験を継続するとともに,試験結果をもとに,シミュレーションモデルの改良を行い,V2Xシステムの適切な設備容量バランス,運用方法の検討を行う。なお,模擬V2Xシステムの監視・制御に使用しているPCが時代の経過とともに相対的に性能劣化しているため,機器更新を行う予定である。 別の研究サブテーマであるV2Xシステムの受容可能性調査については,現地調査が実施できず,次年度使用額が生じた。V2Xの受容性に関する心理モデルについては,theory of planned behavior (TPB)等に基づいたものを構築済みであるので,今後,同モデルに基づくV2Xシステムの受容可能性調査を行うための旅費として同予算を使用する予定である。 以上の2つの研究サブテーマを踏まえ,事業性のあるV2Xシステムのモデルや導入までのプロセスの立案を行い,研究全体のまとめとする。
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