研究課題/領域番号 |
21K04394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
原田 陽子 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (00377475)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 商店街 / 空間特性 / 権利関係 / 小規模連鎖型更新 / 創造的働き方 / 低未利用地 / 可変性 / 小規模連鎖型 / 保全的更新 / 創造的管理活用 / 段階的土地利用計画 / 都市の成熟化 / 空き地 / 暫定利用 / 小規模混在型 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は福井県を主な対象地として以下の3点を明らかにし、可変性を内包した段階的土地利用計画と、点在する低未利用地の創造的な管理活用による都市や住環境の質の向上(=都市の成熟化)について考察することを目的とする。 ①売れない土地、管理放棄地などの発生傾向を含め、広域的観点からの低未利用地の分布特性と地権者の所有実態把握 ②暫定利用など低未利用地の創造的管理活用の実態とニーズの把握(菜園利用、複数区画利用、土地の利用方法の交換など) ③地区特性に応じた「可変性を内包した段階的土地利用計画」、および「点在する低未利用地の管理・活用に向けた中間組織によるエリアマネジメントの可能性」を探ること
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研究実績の概要 |
2023年度の主な実績を以下に示す。 (1) 新栄地区には周辺と比較して木造・低層で築70年以上の古い長屋が多く立地しており、地価や賃料は地区外と比べて著しく低い。現在の店舗数はかつてより減少しているが、それには空き店舗の増加や建物の取壊しの他に、物件同士を統合してきた経緯があり、長屋であることを活か して柔軟に店舗面積を変化させてきた。 また建物は 3 階や道路上への増築が多数みられ、躯体 や部材の老朽化なども確認されており、地区の建物は不便かつ危険の状態にある。 (2) 現在のテナントの殆どは2010年以降に出店している。これらのテナントは立地条件の良さや地区の雰囲気、家賃の安さなどを理由に新栄地区を選択しており、活動的で多様な業種の店舗が集まっている。一方、地区における地権者の数は近年減少傾向にあるものの、現在も約 2 割の物件において地権者が複数存在しており、改善が進みにくい理由の 1 つとなっている。 一方、地権者の意向調査では、多くが現状維持を希望しており、賃料収入や取引価格の安さから、物件改修等の追加投資や物件の売却を検討する地権者は少ない。しかし自身で物件を購入している地権者は、現在の地区の雰囲気を維持したいと考えている割合が高く、自身の物件の改善についても意欲的な場合が多い。近年は、街の活性化のために物件を次々と購入したり物件の改善を実施したりする、意欲的で活動的な地権者が複数みられる。 (3)創造的な働き方の事業者の出店条件は、立地特性は公共交通機関の揃った福井駅が徒歩圏内に位置していることで客が利用しやすい環境であること、街区特性は新栄地区の駅近辺にありながら大通りから外れ奥まった場所に位置し隠れ家的な雰囲気であること、小規模で多様な業種の店舗が集積していること、賃料が安いことである。また、既存建物のリノベーション、シェア空間を持つなどの特徴がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
地権者やテナントへのヒアリングを丁寧に行なった結果、聞ける人は全て聞くことができ、新栄地区の全体像と現状がより鮮明に明らかになった。 また、本調査結果を未来を考える会でも報告するなどして、実践的な動きにも繋がってきており、モデル街区だけでなく、新栄地区内の複数地区において、共同リノベなど、更新の動きが連鎖してきている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、月1回程度の打ち合わせや実測調査などを実施しながら、研究と実践を両輪で進める。 なお、2024年度には、連携して取り組んでいる東京工業大学の真野洋介先生と、住まい・まちづくりデザインワークスの野田明宏氏と共に、日本建築学会大会において、連盟で新栄地区での研究活動について発表する予定である。
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