研究課題/領域番号 |
21K04405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 金沢大学 (2022-2023) 岐阜協立大学 (2021) |
研究代表者 |
杉原 健一 金沢大学, 地球社会基盤学系, 研究協力員 (80259267)
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研究分担者 |
沈 振江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (70294543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 自動生成 / 3次元建物モデル / BIM / 建物の3Dモデル / 建物ポリゴン分割 / 力学シミュレーション / 太陽光シミュレーション / スマートシティ / 津波シミュレーション / 動的3次元建物モデル / Digital Twin |
研究開始時の研究の概要 |
スマートシティのための建物は、ソーラーパネルを備え、季節に応じて太陽光を導き、空気の流れを制御して冷暖房コストを抑え、災害時にも「持続可能な建物」である必要がある。これを実現するには3Dモデルを設計から施工、維持管理に至るまで利活用する「BIM」が必要である。「BIMモデル」は建物の全部材を再現する3Dモデルを持ち、「図面の不整合」等の不具合を防止できる。しかし、3Dモデルを作成するには、多大の労力と時間が必要である。そこで、これまでの研究成果である「建物の3Dモデルを自動生成するシステム」を発展させ、「スマートシティのための建物の3D・BIMモデルを自動生成するシステムの開発」を目指す。
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研究実績の概要 |
現実都市のデジタルレプリカである「スマートシティ/Digital Twin」では、人や車の流れだけでなく、ビルのパイプラインの水や電気等の流れをリアルタイムで把握できるとされる。「Digital Twin」を実現するためには3Dモデルを設計から施工、維持管理に至るまで利活用する「BIM」が必要不可欠である。「3D・BIMモデル」は、柱や梁、鉄骨、配管、空調ダクト等の建物を構成する部材を忠実に再現する3Dモデルを持ち、「図面の不整合」や「コア抜き」などの不具合を防止することができる。そのためBIMは、現在、急速に進化・発展し、長い間、建築設計の元になっていた「図面」にとって代わりつつある。しかし、現在のところBIMの活用は、多大な労力と時間をかけ、「詳細な3Dモデル」を構築できるゼネコンなどの大規模建築物に限られている。この労力を省き、3D・BIMモデルを効率よく生成することが重要で、杉原らのこれまでの研究成果である「電子地図上の建物境界線に基づいて建物の3Dモデルを自動生成するシステム」を発展させ、「スマートシティのための建物の3D・BIMモデルを自動生成するシステムの開発」を目的とする。 昨年度の研究成果として、詳細な建物の3Dモデルを自動生成するシステムの開発を行い、以下の研究成果をあげた。 (1)スマートビルの有力な候補として、広大なバルコニーを有し、そこに屋上緑化や太陽光パネル設置が可能な階段状建物の自動生成。 (2) 自動生成する3次元建物モデルの内部での太陽光シミュレーション。 (3) 地震や津波のシミュレーションが可能な、建物を静的・動的剛体モデルで構成する「動的3次元建物モデル」の自動生成。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況として、「おおむね順調に進んでいる」と考える。その理由として、以下に示す「研究目標」に対して、3年目として、「現在までの進捗状況」に示すような研究成果をあげているからである。
【研究目標】「Digital Twin」を実現するためには3Dモデルを設計から施工、維持管理に至るまで利活用する「3D・BIMモデル」が必要不可欠である。「3D・BIMモデル」は、柱や梁などの「部材」の3Dモデルを持ち、力学や太陽光などのエンジニアリング・シミュレーションが可能である。しかし、現状では、これらの3Dモデルを作成するには、多大の労力が必要である。この多大な労力を省き、3D・BIMモデルの利活用を促進、普及させるために3Dモデルを効率よく生成することが重要で、杉原らのこれまでの研究成果である「電子地図上の建物境界線に基づいて建物の3Dモデルを自動生成するシステム」を発展させ、「スマートシティのための建物の3D・BIMモデルを自動生成するシステムの開発」を目的とする。
【現在までの進捗状況】本研究で自動生成される建物の3Dモデルは、リモセンや手続き型モデリングで生成される建物の3Dモデル(表面モデル)と異なり、その「部材」が中身の詰まった「ソリッドモデル」であり、即ち,部屋に入って,建物形状に応じて,冬に太陽光がどのように導かれ,夏はどのように遮蔽されるのか等のエンジニアリング・シミュレーションが可能で、「スマートハウスとしての両片流れ屋根の建物の自動生成と建物内部での太陽光シミュレーション」というテーマで、それから、「階数の異なる四角形の集まりに分割するポリゴン分割手法による階段状建物モデルの自動生成」というテーマで、日本建築学会 情報シンポジウム、土木学会 土木情報学シンポジウム、GIS学会と国際学会(SPSD Symposium 2024、EETP2024)にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
建築部材やパーツを備え現実の建物を忠実に再現する「詳細な建物の3Dモデル」を自動生成するために「階数の異なる四角形の集まりに分割するポリゴン分割手法による階段状建物モデルの自動生成」の手法を発展させ、階数に応じてどの壁のどの部分に窓やドア、あるいは「セットバックした全面掃き出し窓」が設置できるのか、さらに、建物境界線全体をみて、どの壁にドアや玄関やガレージを設置するのが蓋然性が高いか、あるいは、ある壁のどの部分にどういった窓を付けるとデザイン性が向上するのかなどをコンピュータ幾何学に基づいて推定するような新規のアルゴリズムを開発し、3Dモデルに窓やドアを設置する。
次に、「ポリゴン分割・整形した四角形群」に対して、面積の大きな四角形の内部に、「居室には外部に開かれた開口部が必要である」、「階段は1階と2階で階段は平面図上同じ位置に置く」、「廊下は階段や居室を連結する」、「収納は窓が必要なく、外壁に面する壁を出来るだけ少なくする」、「トイレや浴室などの水回りの窓が出隅(角部)となる場合は筋交いに考慮し、出隅から3尺離す配置、形状とする」などの制約条件のもと自動的に部屋割りを行うアルゴリズムを開発し、Digital Twinとなる細部まで再現する「詳細な建物の3Dモデル」である「3D・BIMモデル」を自動生成する。
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