研究課題/領域番号 |
21K04411
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
道上 真有 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30527693)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 少子化 / 人口 / 出生率 / 住宅 / ロシア / 移民 / 都市 / 危機 / コロナ禍 / 若年 / 経済思想 / 労働移民 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、20世紀から21世紀のソ連およびロシアの経済思想史とロシア都市経済発展(住宅、土地、都市計画)との相関関係を明らかにする。時の経済思想がロシア都市経済発展にどのような影響を与えてきたのか、その特徴を明らかにすることを目的としている。具体的には、(1)土地と住宅の私有化過程とその市場取引の発達過程、(2)都市再開発と関連ビジネスの発達過程、(3)国内・国際人口流入都市と流出都市の再開発過程、3点から、現代ロシア都市経済発展史の研究に挑戦するものである。
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研究実績の概要 |
今年度の大半は、ロシアのウクライナ侵攻前までに収集できた資料や情報に基づき研究を進め、その成果の一部としてロシア・プーチン政権下の少子化と住宅政策に関する論文を発表した。子供を出産する若年世帯に対する補助政策として、住宅購入補助や住宅ローン金利補助を進めるロシア・プーチン政権下の住宅政策によって、都市住宅開発と若年世帯の住宅ローン利用による購入が増えている。しかし、2008年世界金融危機、2014年ロシアのウクライナ危機、2022年のロシアのウクライナ侵攻とロシアのマクロ経済が激しく変動する中で、不良債権率の上昇やローン返済負担増に苦しむ世帯が増えており、政策評価を難しくさせている。人口政策の見地からも、この政策は出産のタイミングを早める効果はあったものの、必ずしも持続的に出生率を向上させているとはいいがたい。都市住宅開発の側面からも都市部拡大がみられるが、拡大した新興住宅都市部の維持が見通せるかどうかは、ロシア政権の家族政策の方向性からも不安な状況が出てきている。居住環境の改善は引き続き重要な課題で、住宅政策の側面から一定の改善率の上昇は見られた。しかしロシアの住宅補助による購入促進政策は、時の政権の景気刺激策の影響が色濃く重なり、出生率上昇と居住環境の改善を当該世帯が持続可能な形で実現させることは難しいことを本研究で明らかにした。また、ロシア人研究者との研究交流、協力のもと、ロシアの少子化対策の政策経緯と詳細を翻訳として発表した。ロシアの住宅政策が、当局が思う方向性とは異なる別の様相ももたらしていることを研究パートナーのインタビュー調査から明らかにした。今後は、研究進展のため代替手段を模索し、研究対象をよりロシア国内の地域差の文脈で詳しく分析することや、研究対象範囲をロシア周辺諸国へも拡大し、北極域や欧州諸国との比較研究にも発展させるようすでに着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
個人的な家族事情(両親の急病と介護)と長引くコロナ禍およびロシアのウクライナ侵攻とによって今年度の研究進捗は遅れを余儀なくされた。ロシアへの現地出張が不可能な時期が続いたうえに、侵攻によって現地調査の見込みは完全に断たれた状況で再開の見込みは立っていない。また侵攻による経済制裁等の影響で郵送での資料収集のみならず、ネット上での研究交流、情報・資料収集のアクセス不能、情報収集のための決済も不能になるなど、出張によららない情報・資料収集手段も困難を極めた。このため研究手法や対象、焦点の改変、文献研究や資料研究への切り替えや、収集データの見直し、ロシア人研究者との研究交流の代替策の模索に時間を要し、今年度の進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査、現地資料収集が難しいため、研究手法や対象、焦点の改変、文献研究や資料研究への切り替えや、収集データの見直し、海外研究者との研究交流方法に工夫を凝らし、進捗の遅れを取り戻す。ロシア人を含む海外研究者との共同研究手法やデータ・資料の入手方法の工夫、代替データや手段の探索、オンラインでアクセス可能な範囲での国内外の研究集会や情報サイト等での研究交流・情報交換・収集等を通じて、可能な限りで代替手法を検討して研究を進める。研究対象範囲をロシアだけでなく周辺諸国へも拡大し、北極域研究やEU加盟東欧諸国との比較研究にも発展させるようすでに着手している。個人的な家族事情(両親の看病、介護負担等)についても、両立させる環境整備とワークライフバランスの見直しを図り、研究進捗の遅れを取り戻す予定である。これらの方策にすでに着手しているところである。
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