研究課題/領域番号 |
21K04420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
青柳 由佳 東京家政学院大学, 現代生活学部, 助教 (60713724)
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研究分担者 |
大橋 竜太 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (40272364)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 木造建築構法 / 板倉 / 放射性炭素年代法 / 土塗り板倉 / 民家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は既往研究で指摘されている板倉構法の型式変容について、最近技術的な進歩が著しい放射性炭素年代法を取り入れることで再評価することを目的とする。板倉は堅牢さが求められるため建設当時の木造建築技術が集積されていると考えられ木造構法発展の知見が得られると推定される。研究対象地域は郷蔵とともに板倉が多数残存する群馬県周辺地域とする。群馬県周辺地域を浅間山麓と赤城山麓にわけて調査を行う。地域ごとに外観からの悉皆調査を行い構法型式を明らかとした上で実測調査により構法の詳細を明らかとする。さらに既往研究で明らかにされている構法の型式編年、地域史および放射性炭素年代法により、型式編年と変容時期を考察する。
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研究実績の概要 |
民家や倉などは、地域ごとに建物の型ごとに構法の変容を明らかにし、おおよその時代的変遷を明らかにしてきた。近年技術的な進捗が著しい放射性炭素年代法を利用すれば、用いた木材の伐採年を推定でき、これらの建物の建設年代をより精密に推定でき、木造構法変容の詳細な知見を得ることができると考えた。本研究は既往研究で指摘されている板倉構法の型式変容について、放射性炭素年代法を取り入れることで再評価することを目的とする。研究対象地域は郷蔵とともに板倉が多数現存する群馬県周辺地域とする。群馬県周辺地域を1)浅間山山麓、2)赤城山山麓に分けて調査を行う。地域ごとに外観からの悉皆調査を行い、構法型式を明らかとした上で実測調査により構法の詳細を明らかとする。さらに既往研究で明らかとされている構法の型式編年、地域史及び放射性炭素年代法により、型式偏年と変容時期を考察する。 2023年度は2022年度に引き続き、群馬県西部の浅間山を中心に板倉の残存状況を確認しながら、実測調査棟数を増やした。嬬恋村大笹集落については倉の構法型式について、外観調査と補足的に聞き取りを行い、悉皆調査を行った。大笹集落の倉は「セイロウ倉」「落とし板倉」「セイロウ組と柱を併用した倉」「土蔵」があることが確認された。倉は、外観からは板倉か土蔵かの区別がつかない場合が多く、これについては今後さらに調査を進める必要がある。また、調査対象の倉の中で放射性炭素年代法が実施できる倉を慎重に検討しているところではあるが、本年度は実施が叶わなかった。しかしながら、2021-2023年までに行われた嬬恋村鎌原の郷倉の解体修理工事を通して、嬬恋村重要文化財「鎌原の郷倉」の土塗り構法の詳細を明らかとして、日本建築学会技術報告集で発表した。この知見を基に、周辺の倉の構法調査結果と合わせ、放射性炭素年代測定をすべき候補を選定予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は群馬県の1)浅間山山麓地域と2)赤城山麓地域を対象として、A)板倉の構法調査、B)放射性炭素年代調査、C)文献調査により成り立っている。 2023年度は1)浅間山山麓を対象としたA)板倉構法調査、C)文献調査を中心に行ったが、B)放射性炭素年代測定の実施が叶わなかった。 A)板倉の構法調査は実測棟数を確実に増やせていると考える。構法調査で明らかとなったことについては、研究成果を学会発表、及び学会誌への発表を行うことができた。 B)放射性炭素年年代測定は部材の小口で年輪を確認して試料を採取する。この地域の板倉の多くには土が塗られているため、年輪が確認できる小口を見つけることが難しく、試料を採取すべき板倉の選定が難しいことが調査遅延の主な要因である。しかし、現在は経年劣化により部材小口が外部から確認される可能性の高い「セイロウ倉」を中心として対象板倉の選定を試みている。構法調査は比較的進んでいるため、今年度はその成果をもとに板倉を選定し、放射性炭素年代測定を実施できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は群馬県の1)浅間山山麓地域と2)赤城山麓地域を対象として、A)板倉の構法調査、B)放射性炭素年代調査、C)文献調査により成り立っている。2021年度は、浅間山山麓地域を対象としたA)板倉の構法調査、C)文献調査を行った。 2022年度は、浅間山山麓地域を対象としたA)板倉の構法の実測調査棟数を増やし、土塗り板倉の壁構法の類型を明らかにした。またその内1棟についてB)放射性炭素年代調査を実施した。2023年度は、1)浅間山山麓地域を対象としたA)板倉の構法の実測調査棟数を増やし、さらに大笹集落では板倉構法の型式類型の悉皆調査を実施した。2024年度は、1)浅間山山麓の板倉との比較のため2)赤城山山麓の板倉調査を行い、B)放射性炭素年代調査については、2023年度の1)浅間山山麓地域での構法調査の成果を踏まえて板倉の選定を行い、放射性炭素年代測定を実施する予定である。さらに調査のまとめとして報告書を作成して、調査結果を調査地域に還元したいと考えている。
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