研究課題/領域番号 |
21K04424
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
平田 京子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70228782)
|
研究分担者 |
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (20151342)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 避難所 / 住民主体 / 運営手法 / 防災教育 / 避難所大学 / ルーブリック / 文京区 / 茨城県神栖市 / 住民 / 自主運営 / 市民啓発 |
研究開始時の研究の概要 |
避難所では建物本体の質向上がむずかしく、さらに地域コミュニティの弱体化した地域で避難所を円滑に運営するのは困難である。特に大規模避難所の運営には自治体の適切な意思決定と住民主体の十分な事前準備が不可欠である。 本研究では、避難所の収容計画とともに、住民主体の運営、リーダー育成、自治体と運営組織、支援者の関係構築に着目し、地域活性度に応じた住民の意識啓発手法を開発、「避難所大学」と名付ける市民教育システムを構築し、住民の協働に基づく避難所運営を実現すべく研究を行う。そして今後の災害に対する日本の避難所の機能高度化と、共助に基づく地域主体型の生活復興モデルを構築し、内外に発信することをめざす。
|
研究実績の概要 |
災害後の首都圏の避難所には避難者が殺到し、東京都では最大約200万人が生活すると想定されている(2022年想定)。避難所は既存建物が指定されていることから、設備や機能の質向上には時間を要するが、地域住民が主体的に運営することを可能にすることが重要で、これが災害後の社会的回復力を高める鍵になる。地域コミュニティの弱体化した都市住民の手で、電気等の途絶した混乱の中で始まる、過密な避難所生活を数ヶ月にわたり円滑に運営するのは非常に困難である。そして避難者に対する安全の確保や生命のかかった意思決定が随時行われる。特に大規模避難所の運営には、大地震発生前から住民主体の十分な準備が必要であり、地域コミュニティの活性化やキーパーソンの活用が鍵を握る。そこで本研究では、避難所の収容計画と運営のための住民に着目して地域活性度に応じた住民の意識啓発手法を開発、「避難所大学」と名付ける市民教育システムを構築し、その意識変容の効果計測を実施する実践型研究として実施する。日本最大級の避難所施設を有する茨城県神栖市(住民・行政意識が不活発)と文京区(運営体制があり、住民主体での準備途中)を比較しつつ行う。これらの研究から首都直下地震等に対する日本の避難所の質向上と共助に基づく生活復興モデルを世界に向けて発信することをめざしている。 当該年度は、コロナウイルスの感染状況下ではあったが、茨城県神栖市で1回実施(シリーズ2回目に該当)、文京区で応用編を2回実施した。参加者への調査から住民の当事者意識、現場の想定、意思決定力などの教育目標を設定し、各自がどこまで達成できたか、さらにグループとしての検討成果等を把握し、教育ルーブリック(達成目標)に基づく達成度の検証結果を学会発表した。またその間に本学に開設される妊産婦・乳児救護所の運営準備に本研究手法と成果を応用し、運営面の検討を学生と協働で実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が継続したため住民あるいは自治体側で延期されることが頻発し、実証実験の実施が遅延したのが理由である。しかしながら住民ワークショップ型の防災教育プログラムを年度内に2地域で合計3回実施し、両者の結果を比較して考察した。グループワークによる教育効果の測定と個人の意識変化をとらえ、どのようなことをきっかけとして自主的な運営意識が高まるかを計測している。それらの結果を学会発表にまとめ、報告した。 他方で、本研究の応用編として本学に文京区が開設する妊産婦・乳児救護所の運営準備にも研究成果を適用し、運営の詳細を立案することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大により、住民を集めての実証実験に影響が出ていたが、2023年度は5月より新型コロナウイルス感染症が5類に変更され、実証実験やヒアリング調査が通常通り実施できる見込みであり、これまで計画してきた実証実験計画を実行に移し、新型コロナウイルスへの感染防止対策を継続しながら、先方と協力しつつ実施する予定である。さらに実証実験が遅延していたためにデータが得られなかったが、データ取得が見込まれるため考察に注力する計画である。 特に実証実験を基に、結果を汎用化し、教育目標と達成度評価手法を検討する。
|