研究課題/領域番号 |
21K04451
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中尾 七重 山形大学, 理学部, 研究員 (90409368)
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研究分担者 |
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30634414)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
青柳 由佳 東京家政学院大学, 現代生活学部, 助教 (60713724)
門叶 冬樹 山形大学, 理学部, 教授 (80323161)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 民家 / 放射性炭素年代測定 / 部材年代 / 測定番号 / 年輪位置 / 炭素年代値 / 民家編年 / 重要文化財高林家住宅 / 放射性炭素年代調査 / 玄関室付九間型間取り / 御三卿清水徳川家 / 重要文化財増田家住宅 / 御三家紀州徳川家 / 重要文化財中家住宅 / 佐倉・設楽家住宅 / 中世 / 酸素同位体比年代法 / 年輪年代法 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の古民家のほとんどが江戸時代の建築であるが、中世に遡るとされる民家も数棟残されている。中世民家や江戸初期の民家の建築年代は不明であり、民家発達史上の位置づけもなされていない。自然科学年代法を用いて中世民家の年代調査を行い、部材年代と建築年代・改造過程を解明する。また、近世前期民家の年代調査も行い、中世民家との比較研究を行う。地域史研究の成果を踏まえて、特定の時期・地域に特定の民家型が成立した歴史的背景を追求する。そして民家の成立過程について実証的研究を行う。これまで情報が少なく解明の手掛かりが無かった民家成立史研究に、年代調査法を用いて取り組み、中近世移行期の民家成立過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度に実施した研究成果を、調査と研究発表に分けて示す。 2022年度の現地調査は、重要文化財高林家住宅(大阪府)、重要文化財高麗家住宅(埼玉県)、重要文化財山口家住宅(大阪府)、登録文化財筒井家住宅(大阪府)、国宝妙法院庫裏の放射性炭素年代調査、および重要文化財中家住宅(大阪府)、重要文化財堀家住宅(奈良県)、重要文化財吉村家住宅(大阪府)の聞き取り調査を行った。 2022年度の研究成果は、「重要文化財高林家住宅の年代調査」(2022年度日本建築学会近畿支部研究発表会)、「重要文化財中家住宅(大阪府熊取町)の平面形式」(2022年度日本建築学会大会学術講演)、「重要文化財高麗家住宅の建築年代」(2022年度日本建築学会関東支部研究発表会)、「絵図に見る白石城大櫓の形状変化」(2022年度日本建築学会東北支部研究報告会)、「天守台石垣の天端保護について」(2022年度日本建築学会東海支部研究集会)、「古建築14C年代調査報告の記述について」(2022年度日本文化財科学会大会発表)を行った。 2022年度に行った研究内容の意義:放射性炭素年代調査結果の考察方法と公開するべき必要情報を示した。近世前期に遡るとされてきた古民家4棟の放射性炭素年代調査を実施し、関東地方と近畿地方の民家編年を修正した。庫裏の年代調査や城郭の現地調査を通してそれらの構造技法を明らかにし、今後の民家構造研究につながる知見を得た。 2022年度に行った研究成果の重要性:「棟持柱構造の一室住居から屋内の室が分化し、下屋を持たない上屋造りから、半間の下屋を持つ下屋付き上屋造りへ、そして一間の下屋を持つ下屋造りへと構造が発達した」とこれまで考えられてきた。しかし放射性炭素年代調査により古民家の建築年代を確定し、現存民家については、近世初頭に成立した四方下屋造りの九間型が先行することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近世前期に遡るとされ、日本民家史研究に重要な位置を占る古民家4棟の放射性炭素年代調査を実施し、関東地方と近畿地方のこれまでの民家編年を修正した。 放射性炭素年代測定を用いた民家年代研究の手法の検証を通じて、年代測定によって得られたデータをより科学的に解釈し、民家変遷を跡づける手法を追求した。 但し、2021年度はコロナ禍のため放射性炭素年代調査にかかる試料採取を含む現地調査ができなかった。そのため、全体としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、中世民家とされる重要文化財箱木家住宅と重要文化財古井家住宅の年代調査を行う。放射性炭素年代測定によって得られたデータをより科学的に解釈し、民家変遷を跡づける手法を用いて、重要文化財箱木家住宅と重要文化財古井家住宅の部材年代と建築年代の関連を明らかにする。
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