研究課題/領域番号 |
21K04460
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
|
研究機関 | 広島女学院大学 |
研究代表者 |
真木 利江 広島女学院大学, 人間生活学部, 教授 (60343620)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 広島平和記念公園 / 長崎平和公園 / 沖縄平和祈念公園 / ランドスケープデザイン / 平和記念と慰霊 / 無名戦士の墓 / 平和公園 / ランドスケープ / 記念表現 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は戦後を代表する建築家・造園家らによって構想され、現在に至るまで変化を続ける広島・長崎・沖縄の3つの平和公園を対象とし、(1)設計に携わった建築家・造園家による平和記念と慰霊の表現について、それぞれの構想と実施、現在に至るまでの変遷の様相を明らかにし、(2)戦後日本の建築とランドスケープデザインにおける記念表現の展開の様相を明らかにすることを目的とする。3つの平和公園を、変化を続ける歴史的環境としてとらえ、建築とランドスケープデザインによる記念表現とその歴史的展開を明らかにすることで、一体的な歴史的環境としての評価の端緒としたい。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に行った長崎平和公園に関する現地調査・文献調査の分析を進め、成果を投稿・発表した。長崎の平和公園については、2022年度に投稿した「長崎国際文化会館と平和の泉のランドスケープデザイン」の発表を2023年9月に実施した。これは長崎浦上の被爆をめぐる記憶の場の形成に関する先行研究を整理したうえで、1950年代の佐藤武夫による長崎国際文化会館と、1960年代の武基雄による平和の泉の2作品の掲載誌を主な対象として,当時の公園全体との関係を整理し,平和記念と慰霊の表現という観点からランドスケープデザインの特徴を明らかにしたものである。また2024年度日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)に「1980年代以降の長崎平和公園におけるランドスケープデザイン」の投稿を行った。これは1980年代以降に取り組まれた平和公園の聖域化とその後の整備に関する報告書、1996年と2003年にそれぞれ開館する長崎原爆資料館と国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の掲載誌を対象として,1980年代以降2003年までの変遷とランドスケープデザインの特徴を明らかにすることを試みたものである。 また、日本建築学会近畿支部若手研究部会「昭和建築とランドスケープの関係史」公開勉強会で「丹下健三による慰霊と平和祈念のランドスケープデザイン」と題して広島平和記念公園を含む研究成果の発表を行った。 慰霊と平和記念に関連するヨーロッパを代表する施設の一つとして,ベルリンに2010年に開館したトポグラフィー・オブ・テラー・ドキュメンテーション・センターをめぐって実施された3回の設計競技を取り上げ、社会的背景と設計条件,一等作品の提案内容を整理・比較し、日本建築学会中国支部で「トポグラフィー・オブ・テラーをめぐる3つの設計競技」の発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に一身上の都合により研究を実施することができない期間が生じたための遅延が影響している。2023年度は2024年度に実施することを見込んでいた長崎の平和公園に関する資料分析と研究発表を前倒しで実施した。長崎については広島・沖縄に比べて公園整備の変遷が複雑で、資料の整理と分析により時間を要する懸念があったためである。そのため、沖縄平和祈念公園に関する研究のまとめ作業を2024年度に行うこととした。 以上により、やや遅れているとしたが、ヨーロッパにおける平和記念と慰霊の表現について資料収集を行っており、今後の研究の展開に関する検討は、予定よりも進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで実施してきた広島・沖縄・長崎に関する研究について、資料収集・現地調査、研究成果の発表を行うことができた。今後はまず沖縄平和祈念公園に関するこれまでの研究成果を、戦後から現在に至る変遷の様相と特徴を明らかにする論文としてまとめなおす予定である。また、ヨーロッパにおける平和記念と慰霊の表現へ研究を展開することについて検討を進める。
|