研究課題/領域番号 |
21K04465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
西田 雅嗣 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (80198473)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ロマネスク / 鐘塔 / クリュニー / 教会堂 / 中世建築 / シンボリズム / 建築考古学 / 建築論 / 塔 / 形と意味 / 尖塔 / 建築構成 / 心性 |
研究開始時の研究の概要 |
クリュニー地方を中心としたフランス南ブルゴーニュに11世紀から12世紀にかけて建設されたロマネスクの小規模教会堂の鐘塔について、教会堂建築の一部を成す鐘塔が、構想、計画、建設、増改築、維持管理、表象、象徴のそれぞれの面で、半ば独立した自律する建築として認識されていたことを明らかにする。
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研究成果の概要 |
フランス南ブルゴーニュ地方に現存する小規模なロマネスクの教会堂について、長年実施してきた実測を中心とした建築調査で得た資料・データ・知見を総合して、ロマネスクの教会堂に乗る鐘塔の建築の性格について、考古学的な建物に即した意匠分析と、中世の時代の文書資料や進学的なシンボリズムからの検討で、建築的に独立した自律的性格を持つ建築部分であることを論じた。鐘塔の装飾意匠や寸法計画を明らかにし、正方形や高さ、そして寸法に現れる数の神学的シンボリズムを分析し、教会堂の一部である鐘塔が、中世に人々には半ば独立した建物のように認識されていた可能性を結論として得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中世建築の認知論的解釈や、空間や形態や構造に見る中世の建築的心性理解を「鐘塔」に対して、建築考古学をベースにしながら明らかにした点は、歴史建築解釈に関する包括的ビジョンの提示となる。本研究が示した、中世当時の人々が自律する諸部分の集合として建築を認識し、彼らが自律建築と考えた重要な部分が鐘塔であるとのビジョンは、全体を統一的に一貫した造形でデザインした建築に価値を置く近代的ヴィジョンの最高に繋がる。また化財建造物の保存・修復においても、昨今問題となる「全体性(インテグリティー)」の考えの相対化を通して得られる創造的視点につながりであろう。
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