研究課題/領域番号 |
21K04468
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
溝口 正人 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (20262876)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 民家 / 濃尾地震 / 三河地震 / 震災復興 / 現存遺構 / 耐震補強 / 現存遺構調査 / 震災 / 復興 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で調査分析の対象とするのは、研究代表者が長年にわたり町並みや民家の調査にあたってきた岐阜県の西濃地域、愛知県の尾張地域および西三河地域である。西濃地域と尾張地域は、明治24年(1891)に発生した濃尾地震で甚大な被害を受けた地域であり、西三河地域は、昭和20年(1945)1月に発生した三河地震で甚大な被害を受けた地域である。本研究では両地震の被災地における、震災被害から復興した民家の罹災前後の変化、震災後に新築された民家に生じた変化を現存遺構の実態から把握し、震災が民家建築にどのような変化をもたらしたのかを、特に耐震補強など構造の変化、規模構成の変化に着目して明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究は明治24年(1891)に発生した濃尾地震、および昭和20年(1945) に発生した三河地震で甚大な被害を受けた地震被災地を調査地域として、被害を受けつつも存続した現存民家の罹災前後の変化の実態を把握した。特に耐震補強の実施など構造の変化に着目して事例分析を行い、震災後に新たに建設された民家に確認できる対策と比較することで、震災が民家建築にどのような変化をもたらしたのかを分析した。調査した濃尾地方、三河地方の現存遺構からみると、震災は民家に構造的に明確な革新をもたらすことはなく、構造的に見た実態は、伝統的な構造の弱点の補強に留まるものであったことが明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で調査した震災後、修理を経て復興された事例からは、伝統的な平面と構法の民家が倒壊せずに残った建物の一部を採用し、あるいは添え柱の付加で復興した実態が明らかとなった。また震災後、新たな構造や形式が積極的に受容されるというよりは、伝統構法の漸進的な変化が多かったことが指摘された。結果として得られた知見は、いわゆるレジリエントなまちづくりが求められている今日において、伝統軸組構法による民家を有効な既存ストックとして活用する上で、耐震解析や耐震補強の手法の進展が重要な意味を持つと考えられることを示唆しているといえる。
|