研究課題/領域番号 |
21K04475
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
畠中 和明 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30749320)
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研究分担者 |
廣田 光智 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50333860)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 航空機姿勢制御 / 流体的推力方向制御(FTV) / ノズル流れ / 最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
通常エルロン・ラダー・エレベータ等の各種舵面操作によって行われる航空機の姿勢制御を,推力ジェットを偏向させることによって実現する技術を「推力偏向(Thrust Vectoring: TV)技術」という。TVには,排気ノズルを機械的に動かしてジェットを偏向するMTVと,流体力学的効果を利用してジェットを偏向するFTVがある。本研究では航空機の推進器下流に設置するFTVノズルを設計・製作し,FTVが航空機の姿勢制御機構として実用的に機能することを示す。更にFTVノズル内外の流れ場を詳細に調査することによって,ノズル設計の最適化を行い,より高い偏向性能を持つFTVノズルを実現することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は,流体力学的推力偏向技術(Fluidic Thrust Vectoring: FTV)をモデル航空機に組み込み,有効な姿勢制御機構として従来の姿勢制御手法と同等以上に機能することを示すことを目的としている。令和4年度の研究実績の概要を以下に示す。
1.FTV機構の性能を最適化することを目的として,実験と数値解析両面から研究を進めているが,FTVノズル内の流れ場を数値計算によりシミュレーションして得られる結果(主流の偏向性能)が,実験と比べて低くなることが課題となっている。令和3年度は,数値計算におけるノズル入口境界条件に実験で実測した値を適用することで,実験と数値解析の乖離が改善方向に向かったが,まだ十分と言える結果ではなかった。令和4年度は,【①モデル航空機とFTVノズルの接合部に生じるバックステップ流れ】及び【②ノズルへの流入速度分布の非軸対称性】に着目して検討を行った。その結果,上記①②双方が主流偏向性能に影響を及ぼしていることが確認され,①②を実験環境に合わせて行った数値解析の結果は,より実験結果と整合するようになった。数値計算と実験の整合性が取れることで,設計パラメーター変更によるFTVノズル性能への影響を効率的に求めることが可能になり,FTV機構の設計最適化が進むことが期待される。
2.令和3年度はFTVノズルの複数の設計要素を単独で変化させた場合のノズル性能への影響を実験的・数値解析的に調査した。令和4年度は,応答曲面法や遺伝的アルゴリズムを用いた最適化を数値解析的に実施した。上記1. に示した実験と数値解析の乖離がまだある状況ではあるものの,これらの最適化手法をFTVノズルに適用する手法を確立し,設計要素ごとのFTV性能への影響度を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】で述べた項目について進捗状況を示す。 1.令和3年度は,推進器(ダクテッドファン)で発生するジェットが旋回流であるということが数値解析で考慮されていないことに着目し,旋回流を考慮した数値解析を行うことで実験と数値解析の乖離が改善された。令和4年度は,それ以外の要因に着目して研究を実施し,数値解析で考慮されていなかった要因を明らかにすることができた。当初の研究計画では旋回流による影響を調査することに主眼が置かれていたが,研究を進める中で,旋回流だけではなく,当初予期していなかった他の要因も影響していることが明らかとなった。数値解析と実験の乖離を抑制するという目的においては進捗は当初計画より遅れているが,新しい知見を得ながら着実に目標達成に向かっていると判断する。 2.FTVノズルの設計変数である「ノズル絞り比」「二次流入口・出口形状」「二次流入口出口位置」「二次流路断面形状」等を同時に変化させ,最適性能を示すパラメータを決定する手法について数値解析的研究を行い,その手順を確立するとともに,最適性能を示す各種変数の決定に成功した。上記1.に示した実験と数値解析の乖離がまだ残っている状態で同時並行で研究を進めたため,本研究で得られた結果はまだ実機に適用できる最適値ではないと考えられる。しかし上記1.で実験と数値解析の乖離が改善されてきていることから,性能最適化に向けた進捗はおおむね順調に推移していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの進捗状況】で述べた項目について今後の研究の推進方策について示す。 1.実験と数値解析結果の乖離が改善に向かっている。今後,更に整合性を高める方法がないか検討する。また,令和4年度までに得た結果は一つのノズル形状に対する検討であったことから,ノズル形状が変わった時に整合性が保たれるかどうかは未検討となっている。数値解析によるノズル性能最適化を進めるとともに,実験も実施することで両者の整合性を確認しながら進める。 2.令和4年度までに最適化手法を確立したが,計算に使用していた条件は実験と数値解析の整合性が取れていない状態のものであった。今後は上記1.で改善された数値解析条件を使用して最適化処理を進め,偏向性能を最適化する設計パラメータ決定に向けて研究を進める。
FTVノズル形状の設計最適化は当初の目標通りおおむね順調に進展している。今後は,上記1,2に加え,最終的な性能確認としてモデル航空機にFTVノズルを搭載した飛行実証試験を実施する。
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