研究課題/領域番号 |
21K04479
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
川合 伸明 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 准教授 (60431988)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 超高速衝突 / 衝撃破壊 / 高速度可視化計測 / 応力波伝播 / スペースデブリ |
研究開始時の研究の概要 |
人類の宇宙活動の副産物として増え続けるスペースデブリに対し、宇宙機のデブリ衝突に対する耐性の向上は、今後ますます重要になっていく。しかしながら、超高速衝突による損傷の形成・進展機構は未だ十分に理解されておらず、宇宙機のデブリ衝突に対する耐性は、構造材料の強度に頼っているのが現状である。本研究では、超高速衝突により材料内部に生じる損傷の形成・進展過程を超高速度可視化計測することにより、超高速衝突損傷の形成・進展機構を明らかにし、損傷機構に基づいた衝突損傷低減法を提案することを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、深刻化する宇宙機とスペースデブリとの超高速衝突問題に対して、超高速衝突損傷の形成・進展機構を明らかにし、その知見に基づいた衝突損傷制御法を提案することにより、将来の宇宙機の耐スペースデブリ衝突性能向上に資することを目的としている。2022年度においては、研究実施計画に基づき「界面の導入による応力波伝播挙動の制御および、衝突損傷抑制・制御への応用」をテーマとして研究を推進した。 超高速衝突実験は、2段式軽ガス銃により加速した高速飛翔体を衝突させることにより行った。透明材料を用いることにより、材料内部に生じる応力場と損傷を、偏光シャドウグラフ法および散乱光イメージング法によりそれぞれ可視化し、その進展過程を超高速度ビデオカメラにより撮影した。ターゲット材料には最も一般的なガラス材料であるソーダライムガラスおよび、耐衝撃透明材料として幅広く用いられているポリカーボネートを用いた。ターゲット内部の接合界面が超高速衝突損傷の形成過程に与える影響を評価するため、ターゲットの構造を前年度までの均一構造から弾道軸方向に複数の部材を重ね合わせ接着接合した構造へと変更した。 ソーダライムガラスのみを重ね合わせたターゲットでは、衝突点から伝播する応力波が接合界面へと到達した際、界面を介して両側の部材に損傷が形成され、各部材内部に損傷伝播していくことが確認された。一方、ガラス部材間に中間層としてポリカーボネートを挿入したターゲットでは、応力波の界面への到達に際して、衝突点側界面では損傷が形成されるものの、下流側界面においては損傷形成は確認されず、界面を介しての損傷伝播が抑制される結果となった。本結果は、ソーダライムガラスのような脆性材料における衝突損傷において、応力波と界面の相互作用の重要性を示すと共に、接合条件のデザインにより損傷形成を制御できる可能性を示唆するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの活動において、偏光シャドウグラフ法および散乱光撮影法の併用による応力分布伝播・損傷進展の実時間可視化計測法の確立し、接合界面を有するターゲットにおける超高速衝突損傷形成過程の評価を行うという当初研究実施計画を達成できている。以上のことから、本研究課題は当初予定に対して遅滞無く進めることができていると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度の成果により、ガラス材重ね合わせターゲットに接合中間層としてポリカーボネートを挿入することにより、応力波伝播による接合界面での損傷形成を著しく低減できることが明らかとなった。本結果を受けて、2023年度においては、接合中間層が応力波緩和層として働く条件を評価していくことにより、応力波伝播条件の制御による超高速衝突損傷の制御・抑制の指針を探るとともに、最終的な目標である「超高速衝突損傷機構に基づいた損傷制御・抑制手法の提案」を目指していく。
|