研究課題/領域番号 |
21K04492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
張 科寅 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (40710596)
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研究分担者 |
渡邊 裕樹 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (30648390)
杵淵 紀世志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90648502)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 宇宙機用推進機 / 電気推進 / 二酸化炭素 / ホールスラスタ / 代替推進剤 / 宇宙機用推進 / 代替推薬 |
研究開始時の研究の概要 |
探査・商用問わず様々な人工衛星でホールスラスタ(電気推進の一種)の利用が拡大している. それに伴い, 従来の推薬であったキセノンの大量消費が課題になりつつあり, 代替推進剤の開発が求められている. 本研究では, 高価で有限であるキセノンに代わり, 二酸化炭素推薬の基礎検討を行うものである. 二酸化炭素は, 様々なガスを電離加速できるホールスラスタの推薬として有望である一方で, 電離不安定性が課題になることが予想される. 本研究では実験とシミュレーションを活用することにより, 物理メカニズムの理解を図る. また, 固体貯蔵からの推薬安定供給方法について, 原理の確認を行う.
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研究実績の概要 |
ホールスラスタ本体について、純CO2推進剤で安定した着火・定常作動が可能であることを確認できた。放電電圧100~200 V, 放電電力700~1600 Wの広範囲にわたって推進性能をパラメトリックに取得し、トータル比推力最大1140秒/推力電力比最大27mN/kWといった推進性能を得た。また、ファラデープローブ及びE×Bプローブを用いたプルーム計測を行い、CO2作動は推進剤利用効率が60%未満と低いこと, イオンビームに占めるCO2+イオンの割合は全体の40%程度に過ぎず、他方CO+, O+, C+がそれぞれ20%程度を占めており、CO2の解離に多くのエネルギーを取られていること, がXe作動と比べて効率が低い主因であり、性能向上に向けた改善点であることがわかった。また0次元及び2次元の粒子シミュレーションの実施により、解析的にもこれらの傾向を確認できた。 貯蔵供給装置については、CO2をドライアイスとして低温貯蔵し三重点を利用することで、高圧貯蔵や調圧不要な貯蔵供給システムを構築可能とする基本コンセプトを確認できた。単体試験により、60分以上三重点維持し、スラスタ作動に必要な流量を供給可能であることがわかった。流量供給によるエンタルピー流出と、貯蔵タンクへの環境入熱のバランスに基づく、軌道上運用を模擬した数理モデルを開発し、最小限の温度制御により軌道上運用できる方策を見出した。また、タンク内の可視化により、三重点維持時間が理論より短くなる原因が、タンク内の温度分布が不均一にあると特定し、伝熱促進フィンの追加により、大幅に改善できることを確認できた。 さらに統合試験として、作動デモンストレーションを実施した。ドライアイス貯蔵供給装置から三重点維持により定圧で供給されたCO2ガスにより、1kW級ホールスラスタ本体が問題なく放電・推力発生することを確認できた。
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