研究課題/領域番号 |
21K04499
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
岡崎 忠胤 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70392686)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自動着桟 / バーチャルリアリティ / システム信頼性 |
研究開始時の研究の概要 |
海外から資源などを運ぶ船舶は巨大であるが故に,プロペラを逆転させても直ぐに停止するこができない.そのため船舶を桟橋へと停止させるために,船長は操船経験を元に安全マージンを設定して着桟操船を行う.そのため自動運転システムにより桟橋へ近づく時,船長の想定より速すぎれば危険な運転だと考え,遅ければ自動運転システムは下手で使えないと考える.そこで本研究では,自動運転での桟橋への接近速度の安全マージンの取り方と操船の効率化をどのようにバランスさせれば,船長からの信頼を得られるかを研究し,船長と自動システムが協調することで安全性を向上させる人間共存型自動離着桟操船システムを開発する.
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研究実績の概要 |
船舶の離着桟は難しい操船局面の1つであるため,船長は自身の経験を元に安全マージンを設定して離着桟操船を行う.そのため,例えば自動システムによる桟橋へのアプローチ速度が船長の想定より遅ければ効率が悪い操船と考え,速すぎれば危険な操船だと考える.そこで本研究では,自動離着桟操船時の安全マージンの取り方と操船の効率化をどのようにバランスさせれば船長からの信頼を得られるかを検討するするために,以下の研究を行った.①船を操縦する機器が故障すれば,岸壁に衝突し事故となる.そこで船長は,船を操縦する機器の信頼性を考慮して安全マージンを設定していると仮定し,機器の信頼性解析を実施した.そして機器が故障した場合に衝突を避けることが可能な限界を船の運動モデルから推定する手法を開発し,安全マージンの設定へ反映することとした.②安全マージンを設定した着桟操船計画を実行する自動着桟操船システムの研究開発を実施した.自動システムによる操船方法が船長の操船方法とかけ離れていると手動操船に切り替えた時の船長の負担が増加する.そこで実際の着桟データを収集し操船方法を分析した上で,自動操船システムのアルゴリズムをの研究開発を実施した.③開発した自動着桟システムを評価するためには,操船シミュレータによる評価実験が必要となる.そこで,着桟操船のシナリオを再現可能な操船シミュレータの研究開発を実施した.着桟操船時は,船長が岸壁との距離を見るたため全方位の視界を再現するシステムが必要となる.そこで,被験者がヘッドマウントディスプレイを装備しバーチャルリアリティ空間に没入するタイプの操船シミュレータの研究開発を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①操船計画立案システムの研究開発は,当初の研究計画では2022年度末までに完成させる予定であった.しかし研究を進める中で,自動システムによる操船方法が船長の操船方法と乖離することを回避する必要性に気づいた.そこで実際の着桟データを多数分析して操船計画を立案するよう研究内容を変更した.そのため操船計画立案システムの研究には遅れが生じ,外乱へ対応する部分が未完成の状態である.しかし,外乱が無い場合の基本的な部分について完成済みである.②離着桟制御システムの研究開発については,2021年度の報告書に記述したとおり,コロナ禍の影響で実船実験の実施が困難な状況となっている.停滞した研究を進めるため,研究計画を変更し,船舶の運動を詳細に再現する操縦運動モデルを用いたシミュレーションを実船実験の代用として研究を進めている.現状として,操船計画を遂行する追従制御システムが70%の段階まで完成し,手動操船システムが50%の段階まで完成している.一方で③評価システムの研究開発については,予定を前倒しし,90%まで研究が進んでおいる.特にバーチャルリアリティを用いた操船シミュレータについては,研究を進める過程で遠隔操船システムのユーザーインターフェースとして有効であることが分かった.そこで,バーチャルリアリティを用いた操船シミュレータについての研究成果を論文とし国際会議へ発表している. 以上の通り研究全体としては,研究計画はおおむね順調に進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響で実船実験の実施が困難な状況となり停滞した研究を進めるため,研究計画を変更し,船舶の運動を詳細に再現する操縦運動モデルを用いたシミュレータを構築した.今後は,このシミュレータを用いて,離着桟制御システムの研究を遂行する方針である.また予定を前倒しして開発したを用いた操船シミュレータを活用し,本研究で提案するシステムの評価実験を進める方針である.
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