研究課題/領域番号 |
21K04510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 海上保安大学校(海上保安国際研究センター) |
研究代表者 |
松浦 義則 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 教授 (80285436)
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研究分担者 |
山中 仁昭 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 教授 (00352047)
磯崎 裕臣 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 准教授 (10581225)
佐藤 寧洋 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 准教授 (80571554)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | RFID / 海上衝突回避システム |
研究開始時の研究の概要 |
陸上とは環境が異なる海上における安価で身近な無線デバイスを用いた高精度で信頼性の高い測距技術を開発することで、プレジャーボートや小型漁船等の比較的小さい船舶の安価な衝突回避システムを構築する. 非接触ICカードや図書館用ICラベル等に利用されているRFIDタグをカキ筏やブイ等の海上浮遊物や船舶へ設置し,そのRFIDタグから発せられる電波の受信電力を航行する船舶から監視する. 観測結果をスマートフォンのような一般に利用されている携帯端末に表示し,衝突の危険がある場合には振動や音声などで警報を発して海上浮遊物への近接状況を知らせるシステムを開発する.
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研究実績の概要 |
小型船舶においては操船者や船長が自船の漂流に気がつかなかったり、悪視界により海上浮遊物を視認できなかったりという事故原因を回避できる安価で有効な手段がない。我々の研究グループでは、操船者に対し聴覚的かつ視覚的にその危険を知らせることのできる小型かつ安価なシステムがあればこのような事故を防ぐことができるのではないかと考えた。 このような背景から、小型かつ安価で小型船舶への搭載に適した海上浮遊物衝突回避システムの構築を目指して着目したのが、RFID (Radio Frequency IDentification) という電子タグを用いた近距離無線通信システムである。今回の研究では、RFID タグを用いたシステムの構築には不可欠な受信電波強度の取得に用いる高精度測位システムの構築と、構築した測位システムの検証および受信電波強度の測定を行った。 構築を目指す海上浮遊物衝突回避システムのために必要となる、RFID の受信電波強度と距離の関係を精度良く測定するために、海上であっても正確に距離を測定できる RTK-GNSS を用いた高精度測位システムを構築し、レーザ測距計と比べ概ね 10 cm 以内のずれに抑えられることを前年度までに明らかにしている。 2023年度は、海上での受信電波強度の測定を行い、RSSI の値が送受信点間距離の二乗に反比例して減衰することを確認したが、市販の RFID タグを使用したシステムでは、回路や送信信号の詳細が公開されておらず、送受信機器の小型化が困難であり、代替装置として低消費電力のWi-Fiコントローラである ESP32 を使ったシステム設計を検討した。今後の課題として、天候等を考慮して ESP32 を使ったシステムでの受信電波強度の測定を行い、モデル式の確定と精度向上を行ったのち、具体的な海上浮遊物衝突回避システムの構築を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々の研究グループでは、小型船舶の操船者に向けて海洋浮遊物などの接近を視覚的・聴覚的に通知できる低コストなシステムの実現を目指しており、これまでに電子タグなどに利用されている RFID(RadioFrequencyIdentification)を使った海洋浮遊物の識別システムを提案した。しかし、市販されているアクティブ型 RFID タグを使用したシステムでは、回路や送信信号の詳細が公開されておらず、送受信機器の小型化が困難であった。そこで低消費電力のWi-Fiコントローラである ESP32 を使用し、Wi-Fiの受信電波強度に基づいた接近警報システムの試作を行い、当初の目的である「乗船者に対し、聴覚的かつ視覚的にその危険を知らせることのできる安価なシステム」が構築できないか検討を行った。Wi-Fiの受信電波強度と機器間の距離の関係を明らかにするために、Wi-Fiコントローラ EPS32 モジュールを送受信機器として、疑似パケットを周期的に送受信するプログラムを作成した。本研究の進捗が遅れた要因は当初の計画にはなかったWi-Fiコントローラ ESP32 を使用した実験の準備に時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
受信電波強度と距離との関係を陸上において調査し、実際にWi-Fiコントローラ ESP32 モジュールを使って接近警報システムを試作したので、今後は洋上での実験を行なって携帯端末への実装を目指す。陸上とは異なる環境での実験となるので、携帯端末から発する警報の工夫や設置する方法など、実用化に向けてより具体的な課題を探る実験を行うこととする。
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