研究課題/領域番号 |
21K04515
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
西崎 ちひろ 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70570993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Situation Awareness / 操船者の見張り支援 / 船舶運航データ / 機械学習 / AIS / SAGAT / レーダ画像 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,Situation Awareness Global Assessment Technique(シミュレータ実験において人間の状況認識を直接計測できる手法,以下「SAGAT」)を用いた操船シミュレータ実験において計測した「操船者の状況認識」結果と,水先人(ベテラン操船者)の状況認識及び操船データを組み合わせることで,横浜航路へのアプローチ操船に限定した操船者の状況認識のモデル化と,AI(Artificial Intelligence)手法による船舶交通流予測を組み込んだ操船者の状況認識支援システムの開発を行う.
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研究実績の概要 |
本研究は,操船シミュレータで計測した操船者の状況認識と,水先人の操船データを組み合わせることで,横浜航路へのアプローチ操船における操船者の状況認識をモデル化し,機械学習による船舶交通流予測を組み込んだ操船者の状況認識支援システムの構築を目的としている.令和5年度の主な実施内容は,以下の3点である. (1)横浜航路へのアプローチ操船において中ノ瀬西方海域を南下する船舶群に対する横切り場所を予測するシステムの改良:令和4年度は,3隻の南下船と遭遇するケースにおいて南下船群に対する横切り場所の予測システムを構築し,予測精度は約80%であった.令和5年度は,より実用的なシステムを目指すため,3隻以外の南下船遭遇隻数においても横切り位置が予測できるシステムを目指し,大幅な学習モデルの改良を行うとともに,学習させるAISデータの大幅な追加を行った.その結果,遭遇隻数に依存しないシステムを再構築でき,予測精度も向上させることができた. (2)南下船群に対する横切り場所の予測結果の操船者への提供方法の検討:(1)で改良したシステムの予測結果を操船者に提供する方法について,現在の船橋内航海計器の搭載状況や人間の認知特性の観点から「視覚情報」と「聴覚情報」の2面から検討し,本研究では「聴覚情報」として音声アナウンスを活用した情報提供に特化するシステムを構築した. (3)横浜航路へのアプローチ操船において中ノ瀬西方海域を南下する船舶群に対する横切り場所の予測及び情報提供システムの評価実験:(1)(2)において改良及び検討を行った最終的な操船者の状況認識の支援システムについて有効性を評価するため,操船実務経験者を被験者とした操船シミュレータ実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度及び令和4年度は,コロナ禍による学外者入構制限や人間を扱う実験に関する制限及び操船シミュレータ施設の入れ替えに伴い,さらに令和5年度は,新規導入した操船シミュレータの不具合のため,実験予定の時期に操船実務経験者を被験者とした操船シミュレータ実験を実施することが困難となった.本研究では操船者の状況認識の計測実験部分をヒアリング調査へ変更し,横浜航路アプローチ操船に必要な情報の選定を行い,機械学習を用いて操船者へ提供する情報の予測システムについては構築することができた.一方,本研究で構築している操船者の状況認識支援システムは,操船実務経験のある被験者による評価が必要不可欠であり,操船シミュレータの修理完了後,最終的なシステム評価実験を行う必要があった.そのため,研究期間について1年の延長を申請し,令和5年度末に操船実務経験者による評価実験を行い,実験結果の分析と研究発表を令和6年度に行うこととした.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,横浜航路へのアプローチ操船において中ノ瀬西方海域を南下する船舶群に対する横切り場所を予測するシステムの改良を行い,令和5年度末に操船実務経験者による評価実験が完了した.そこで令和6年度は,実験で計測した映像データを用いて被験者の行動分析を行い,かつSAGATの計測結果を用いて状況認識の分析を行う予定である.また,この分析結果と操船者の意見を取り入れることでシステムの改良を行うことを想定している.さらに本研究に関する研究発表として,令和6年度初旬に国際会議へ投稿し,10月の口頭発表を予定している.
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