研究課題/領域番号 |
21K04520
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
黒田 貴子 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (00415811)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 船舶曳航 / 複数材質の曳航索 / カテナリー / 動的索張力 / 複数の曳索材質 / 弛緩・緊張状態 |
研究開始時の研究の概要 |
安全な船舶曳航を計画・実行するには曳索の急張や被曳船の振れまわり挙動を精度よく推定する必要があり,中でも曳索に働く張力は重要な要素である。従来の曳航計算法は曳索を準静的に扱っており,曳索の動的影響や船の加速度の影響が厳密には考慮されていない。また,曳索はチェイン,ワイヤー,繊維索の特徴を考慮して複数の材質で構成されたものが使用されるが,従来の計算法では曳索の材質は単一で扱われている。 本研究では複数の異なる材質で構成する曳索が弛緩と緊張状態で動揺する曳航索の動的索張力計算法を構築し,その計算法による索の運動方程式を導入した時間領域での不規則波中船体運動・振れまわり運動計算法を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は複数の材質で構成する曳索の弛緩・緊張状態での動的索張力を考慮した不規則波中時間領域での船舶曳航時の被曳船の船体運動計算法の提案である。これまでの船舶曳航の研究は,曳索は単一材質とし,準静的な形状を保つ状態で操縦運動の中で扱われ,曳航時に発生する動的索張力による最大値の把握は経験で行ってきた。実際の曳航現場では錨鎖に曳索を繋いだり,2つ以上の材質の曳索を組み合わせたりして用いるのが一般的であるため,索張力の推定には曳索を構成する材質や径,長さを考慮すべきである。また,動的索張力は曳航点となる船の運動が関与するため船体運動計算で扱う必要があり,さらに弛緩・緊張状態で影響は大きくことなる。動的索張力の推定のためランプドマス法で曳航索の3次元変位を扱うと時間領域計算に組み込む際に複雑化し,緊張状態で精度が出ないことが知られている。 これまでに弛緩と緊張状態での理論式をもとに,複数の異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計算法を検討し,計算プログラムを作成してきた。また,計算法の検証のために,昨年度は規則波中での曳航模型実験を実施した。今年度は不規則波中での2種の材質で構成された一本の曳索で模型船を曳航する実験を実施した。模型実験では被曳船を曳索介して引っ張る曳引台車と被曳船の船首部双方に歪みゲージの張力計とポテンショの角度計を設置し,曳索を取り付けて索張力と曳航索の繰り出し角度を計測した。被曳船の船体運動は模型船にジャイロを搭載して計測し,被曳船の軌跡と船首揺れはトータルステーションで計測した。曳索を構成する2つの異なる材質の索(ワイヤーとボールチェイン)の割合を変えて動的索張力への影響を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに2つの異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計算法を弛緩・緊張状態での曳索の理論式を基に検討し,計算プログラムを作成した。本計算法の精度を確認するために模型実験を実施し,規則波,不規則波中を2つの材質で構成する一本の曳索で曳航されるコンテナ船の船体運動,軌跡や動的索張力の計測結果を取得している。概ね当初の研究計画の予定どおりに研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
規則波及び不規則波中の模型実験を整理し,弛緩と緊張状態での曳索に働く索張力の理論式を基にした複数の異なる材質で構成する曳索の動的索張力の計算法による計算結果と比較し,プログラムの改良を行う。さらに,この計算法を導入した不規則波中での被曳船の時間領域での振れまわり運動計算法を一点係留の計算法を基に検討する。
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