研究課題/領域番号 |
21K04525
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
藤本 勝成 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (50271888)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 集団意思決定 / 包除積分 / 離散偏微分 / 連言・選言 / 必然・可能 / ストレス / 次元拡張 / 集団見解 / 集合関数 / コンセンサス / 合意形成 / 証拠理論 / 協力ゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
例えば,「汚染処理水処分」の問題は,集団意思決定,合意形成の問題として,注目されているトピックの1つである。 この処分方法の決定において,多くの意思決定主体は「コスト」に「重きを置いて」いる。また,政府としては「安全性」は「ゆずれない」,漁業関係者は,「風評対策」は「絶対にゆずれない」評価基準であると考えている。 一方で、集団見解に対する各意思決定主体の意見のぶつかり合いに対しては,妥協(ストレス)か?両立(コンセンサス)を目指すのか? これらの「問い」に対して,「重きを置く」,「ゆずれない」,「コンセンサス」,「ストレス」をキーワードに,新たな集団意思決定・合意形成のための理論・方法論を提案する。
|
研究実績の概要 |
1つの評価対象に対して,様々な価値観や背景を持った複数人が,集団としての共通の評価を与える状況を考える.多基準の意思決定問題において,最も単純な集団評価の与え方は,各人の評価の平均化である.一口に,平均化と言っても,算術平均,幾何平均など,与えられた文脈の中で様々である. 昨年度までに、本田ら(https://doi.org/10.1007/978-3-319-40596-4_7)によって定義された包除積分における相互作用演算子によって集合関数化された各人の評価値の算術平均を集団評価値とすることが、集団見解における「ストレス」を最小化する事を示した。 今年度の研究では、上述の「各人の各属性における評価値(属性値)」を集合関数化する際に用いられる相互作用演算子を、可換で連結な演算子(AC-operator)として捉え、「連言的」に次元拡大を行うAC-operatorなのか、また、「選言的」にそれを行うAC-operatorなのか等の観点から、それぞれの場合の特徴を整理した。また、「連言性」、「選言性」は、集合関数化された評価値のある種の微分構造として現れることも明らかした。この際、集合関数に対する逆方向離散偏微分という概念を提案した。また、これらの性質をもつ相互作用演算子に関する包除積分に対する分析を通して、相互作用演算子における「連言・選言」は、様相論理における「必然・可能」と深い関係にあることを示唆する結果も得た。この「必然・可能」の概念と関係性は、「ゆずれない・重きを置く」との関係性に接近する上で重要な役割を果たすことが期待される。 これら結果については、第28回 曖昧な気持ちに挑むワークショップ,および,第34回 ソフトサイエンス・ワークショップにおいて公表した. また、国際会議および欧文論文誌においての公表も準備中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画に沿って,既存の集合関数をベースにした多属性意思決定理論および,合意形成ベースの集団意思決定理論の構築を順調に進めている。 昨年度までに、「ストレス」に注目した理論構築とその妥当性の検証を行ってきた。 今年度は、これに加え、各人の「ゆずれない」「重きを置く」へ検討範囲を拡げ、これまでに検討・提案してきたモデルが、連言・選言と必然・可能の概念をリンクさせる概念であることの検証を進めた。これらによって、「ゆずれない」「重きを置く」を適切に表現するモデル構築に接近してきているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる来年度では、提案した(する)モデルが、「ストレス」「コンセンサス」の観点から、望ましいモデルとなっていることの検証を進めるとともに、「ゆずれない」「重きを置く」の観点からのモデルの選択・解釈の方法を提案していく。さらに、これらのモデルの計算機実装を行う。 また、これらの成果を、国際会議・欧文雑誌を通して、周知していく。
|