現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画に沿って,既存の集合関数をベースにした多属性意思決定理論および,合意形成ベースの集団意思決定理論の文脈における,決定者の「ストレス」に注目した集団としての代替案に対する「仮」の評価を与える方法論について,1つの提案とその根拠について言及した.これらについては,第27回 曖昧な気持ちに挑むワークショップ,および,第33回 ソフトサイエンス・ワークショップにおいて公表した. 集団見解の再調整プロセスの効率化に向けて,意思決定者の「ストレス」を考慮においた方法論を提案するという,当初の目標の1つに対して成果をあげている。これらからも,その進捗としては,計画通りであり,おおむね順調に進展してるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
1) コンセンサスとストレス 集団意思決定において,集合的代替解と個人の選好との間の差異の存在は不可避である.この際,集合的代替解に対して,どの程度合意できるのか(コンセンサス),どのくらい不満を感じるのか(ストレス)を定量的に測ることは,再調整プロセスの効率化に対してきわめて重要である.集団行動を集合関数で表現する方法論として,協力ゲームの理論がある.ここでは,最大不満の最小化(仁)や各人の他者に対する不満の均衡(カーネル)など,コンセンサスやストレスに関連する概念が存在する.これらの知見を援用しながら,本研究の文脈におけるコンセンサスやストレスの概念を定義・提案するとともに,これらに基づく,集団選好への集約・統合法を提案していく. 2) アプリケーションの実装 上記で提案された諸概念・方法論を利活用するためのアプリケーションを作成・公開する.
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