研究課題/領域番号 |
21K04532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
梶原 康博 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (70224409)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | レーダ / 人物検知 / 防災 / 一次元レーダ |
研究開始時の研究の概要 |
現状のレーダ技術では、建物内の人物からの反射波と多数の検出したくない対象からの反射波(クラッタ)を分離できる有効な方法が見つかっていない。そこで、従来のレーダによる測距法では活用されていない位相遅れを活用する。建材として広く使用されている合板、石膏ボード、コンクリート等と人体とでは反射波の位相遅れが異なる。この現象を利用して、物体までの距離を測定するとともに、被検知物体の移動速度および位相遅れを変数として判別分析等の統計的方法を用いて人物とクラッタを判別できるようにする。
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研究実績の概要 |
(1)周波数連続変調(FMCW)レーダにより壁背面人物を検知する方法を開発した.反射波電波強度の差分を特徴量とした.人は呼吸,重心動揺等によりレーダからの距離が変動する.そのため,受信波の位相も変動する.そこで,位相変動に伴う受信波電波強度の変動を差分処理により求め,特徴量とした.そして,交叉検証法により人の有無を判別するための推定モデルを選定する方法を開発した.この方法を無人搬送車に実装し,無人搬送車が部屋を出る直前に壁を透視して通路上の通行人の有無を確認できるようにした.壁を透視して通行人が検知された場合には,通行人がいなくなるまで無人搬送車が停止するように制御できることを確認した.この研究成果を2023年7月に開催される国際会議において口頭発表することを予定している. (2)パルスレーダにより壁背面人物を検知する方法を開発した.2.4GHz周波数のWi-Fi通信が広く用いられており,壁を透過して通信を行えることが知られている.そこで,信号発生器により2.4GHzのパルス波を発生させ,その反射波を解析することにより壁背面の人物を検知する方法を開発した.家具は静止しているために反射波電波強度は人に比べて強いが位相は変化しない.一方,人は呼吸および重心動揺に伴いレーダからの距離が周期的に数cm変動するために反射波の位相が変動する.そこで,受信波の電波強度および位相の変動を特徴量として壁背面のモノと人を判別するための推定モデルを求める方法を開発し,実験により提案方法の有効性を確認した.この研究成果を2023年度中に日本設備管理学会に投稿することを予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,防災活動支援を目的として,屋外から屋内の逃げ遅れた人物を早期に発見できる装置の開発を目的としている.今日レーダの検知方式としてFMCW方式およびパルス方式が用いられていることから,両方の方式に対して,建物の壁背面の人物を検知する方法の開発に取り組んでいる.2022年度までに試作機を開発し,実験により開発した方法の有効性を確認することが計画されている.FMCW方式レーダに関しては,技術基準適合証明を有するレーダを用いることにより,日常生活が行える実験環境において提案方法の有効性を確認した.パルス方式に関しては,Wi-Fi通信と同じ周波数の電波を使用しているが,技術基準適合証明が得られていないことから電波暗室において開発した方法の有効性を確認した.いずれの方法も壁背面の人を検知できることが実験により確認されており,2023年度中に国際会議発表および学術論文誌への投稿が確実に行えるところまで準備が進んでいる.以上のことから,当初計画に沿い,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度までに開発した2つの方法に関し,実験による方法の有効性検証までの成果をまとめ,2023年度中に国際会議発表および学術論文誌への投稿を2023年に当初計画通りに行う.年度末までに研究成果をまとめ,研究成果報告書を提出することを予定している.
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