研究課題/領域番号 |
21K04541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
重松 美加 国立感染症研究所, 国際協力室, 主任研究官 (20299598)
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研究分担者 |
吉川 肇子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (70214830)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 行動変容 / 感染症 / コミュニケーション / 健康危機対応 / COVID-19 |
研究開始時の研究の概要 |
COVID-19の感染が全国へ拡大し短期収束が望めない現状では、専門家による感染制御だけではなく、一般市民の行動変容(「新しい生活様式」の実行)が求められている。しかし、地域や職種、時期により生活様式に変化がある中で、長期に渡って行動変容を引き起こす具体的な手法は確立していない。そこで本研究では、次の3つの課題を達成する:(1)具体的にどのような行動がリスク回避行動と認識されているのかを調査する。(2)感染管理行動を感染症の専門的視点から分類し、リスク評価を行う。(3)日常生活でも実行可能な市民のための行動ガイドを作成するとともに、簡易に記録できるようにアプリとして提供し、その効果を評価する。
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研究実績の概要 |
3年以上続いた新型コロナウイルス感染症のパンデミックに終息宣言が出され、感染力や後遺症の重篤性は変わらないまま、季節性のインフルエンザと同等の感染症の扱いとなった。引き続き一般市民は、明確な判断基準が提供されないままに感染リスクを回避し、継続可能な適正レベルの生活様式の転換へ協力することを求められている。
本研究では、次の3つの課題の達成を目指している:(1)人々が実際に行っている感染防止のための行動の実態調査を行って、具体的にどのような行動がリスク回避行動と認識されているのか、および、その実行率を調査する。(2)この 調査に基づき、感染防止行動を感染症の専門的視点から分類し、それぞれの有効性と長期に実行可能かどうかの視点から分類してリスク評価する。(3)リスク評価に基づき、日常生活でも実行可能な市民のための行動ガイドを作成するとともに、簡易に記録できるようにアプリとして 提供した上で、その効果を評価する。 専門知識を持たなくとも、一般市民がリスク回避行動の選択を自立的に行う意思決定支援のツールとして、アプリの利用を可能とする。
2022年度までに行動の実態調査の設計に必要な情報収集と調査の設計及び実施を行う予定であったが、COVID-19の感染拡大による緊急事態宣言が繰り返されたことから、一部の海外事例収集が遅れたほか、リスク回避行動に関する調査の設計打ち合わせの機会が不足し、調査を実施するに至らなかった。2023年度は、前年度に設計した実際の市民の行動調査票の改訂、一部地域での試行、これまでに設計したリスク回避行動の選択肢の改訂に引き続き、アプリ作成に着手した。2024年度は、アプリの運用と行動変容への効果の調査を実施し、成果をまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023 年度までに予定していた2つの課題のうち、(1)個人が実行している感染対策行動のリスク評価や、市民の感染対策行動の収集については予定通り実施でき、海外における過去の行動調査の報告等についての情報も継続収集している。2023年度中にはCOVID-19の感染症は感染症法上の第5類へ再類型され、人々の認識も変わったことから、リスク行動を再評価するための追加調査を必要とするなどの追加作業も増えた。一方、(2)感染リスクにつながる行動を記録するアプリの開発は、2021 年度の遅れの影響を受けて作成開始が遅れ、2023年中に開発が終了せず全体の進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度前半は、(1)2023年中に作成した感染リスクにつながる行動を記録するアプリのα版をテスト後、改良を行い、(2)2023年度末に実施した、COVID-19の感染症としての扱いが変更された後の調査結果に基づき、個人が実行している感染対策行動のリスク評価の調整を行い、年度の後半に(3)作成したアプリのリスク回避行動の選択判断支援に対する効果の検討、(4)研究成果の他の感染症領域への展開の可能性についての検討と発表を予定している。
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