研究課題/領域番号 |
21K04545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 (2022) 東京工業大学 (2021) |
研究代表者 |
Jusup Marko 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (60762713)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 進化ゲーム理論 / ネットワーク科学 / 意思決定 / 定量的モデル化 / 疫学・行動モデル / ワクチン接種 / social dynamics / human decision making / epidemics / vaccination / epidemiology / misinformation / infectious diseases / human behavior |
研究開始時の研究の概要 |
General populations worldwide are becoming increasingly exposed to scientific misinformation, especially about vaccination. This project will combine modeling of socio-epidemiological dynamics with behavioral experiments to reduce the negative effects of misinformation and increase vaccination.
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研究実績の概要 |
本研究は、個人に対して定義された少数の心理社会的ルールから集団行動がどのように生まれるかを説明し、予測するための定量的なモデル化を行った。定量的モデル化は、進化ゲーム理論とネットワーク科学を組み合わせた方法に基づいていた。このような組み合わせた方法は、進化ゲーム理論は社会経済的なインセンティブが合理的な行為者にどのように影響するかを分析するし、ネットワーク科学は集団内のあらゆる行為者と行為者の相互作用を追跡するし、柔軟な枠組みを提供した。
この枠組みを生かして、ワクチン接種に関する意思決定処理を含む疫学・行動モデルの開発ができた。何層もの複雑性を取り入れることで、モデルの現実性の新しい基準を確立した。具体的には、結果に基づいて意思決定を行う合理的な行為者だけでなく、人間の重要な特性を反映した意思決定を行う他のタイプの行為者もモデルに含んだ。例えば、適合主義者は、たとえそれが最適でない結果をもたらすとしても多数派に従うし、狂信者は、深く根付いた信念のために何があっても行為を変えない。これまでに予備的なシミュレーションを行い、感染症の流行中における人間のワクチン接種に関する意思決定に強い非線形効果が見られた。これらの結果は期待されるものであり、近い将来に投稿する予定の、影響力ある一連の論文の基礎となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、本研究の実施状況は、三つの段階で構成されている:第一段階は、一つの行為者のネットワーク上に定量的な疫学・行動モデルの開発である。第二段階では、モデルのテストとデバッグを行い、その後、大規模な数値的シミュレーションを行う。第三段階は、モデルの一般化である。例えば、感染病は物理的接触者のネットワークを通じて流行するが、人間の意思決定は部分的にオンラインである社会的ネットワークに影響される。この三つの段階を経て、結果を纏め、一流の学術誌に投稿・掲載することを目指す。
上記の現在の実施状況については、第一段階を終了し、第二段階の作業を行なっているところである。開発できた定量的疫学・行動モデルは、感染病のダイナミクスと人間の意思決定のダイナミクスを一つの行為者のネットワーク上に実装することが含まれている。これまでのモデルと異なり、完全合理的な行為者だけでなく、適合性や熱狂性など他のタイプの人間の特性を考慮している。
初期の研究計画の二次的目的は、範囲の限りある行動実験で数理モデル化を補足することであった。しかしながら、研究代表者の勤務先が変わったため、計画の一部については調整が必要であった。具体的には、新しい勤務先が異なる研究分野を中心にしており、行動実験への参加者を十分集めることができないため、ワクチン接種に関連する意思決定処理を捉えた現実的な社会・疫学的動態シミュレーションが優先された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、これまでにない現実性を実現する疫学・行動モデルの開発を重要な目標としている。このような現実性の一つの側面として、厳密には合理的ではなく、人間のどこにでもあるような特性を持った行為者をモデルに含む。また別の側面として、行為者間の相互作用ネットワークをモデルに複数組み込む。例えば、流行病は市町村の生活を考慮したモジュラー型の物理ネットワーク上で広がり、ワクチンの誤報は広くフォローされているインフルエンサーを考慮したスケールフリー型のソーシャルネットワーク上で広がる。このような多層ネットワークモデルを2023年度に構築し、広範なシミュレーションを行う予定である。全体的に、新たな探究方向が開かれ、ワクチン接種に関する意思決定処理の公衆衛生への影響について理解を深めるための研究が進んでいる。
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