研究課題/領域番号 |
21K04553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
金子 雅明 東海大学, 情報通信学部, 教授 (30454036)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 輸血業務 / 医療サービスのレジリエンス評価 / レジリエンス評価方法 / アクションカード / 薬剤備蓄 / 災害レジリエンス評価 / 災害医療 / 災害食 |
研究開始時の研究の概要 |
病院における災害レジリエンス評価をいかに行えるのかの学術的な問いに対して,本研究では入院患者への食事提供を対象として災害時における継続性の評価方法を確立する.病院の食事は治療の一環としても提供され,災害時においても当該疾患の早期治癒や悪化防止に極めて重要な役割を果たす医療サービスである.実際に2病院を主たる研究フィールドとして評価方法を検討,開発して有用性を検証し,他の7病院にも広く適用して汎用性も高める.本研究により,災害時における病院の食事提供の継続性を向上できるとともに,学術的にも災害レジリエンス評価研究に関する一つの有用なアプローチを提示できる.
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研究実績の概要 |
本研究の最終目的は,病院における災害レジリエンス評価方法の確立であり,そのための題材として災害時に継続提供が求められる医療サービスのうち,災害食の提供を取り上げて,研究期間の最初の2年間はその検討を中心に行った.3年目の昨年度は,災害時における食事提供プロセスに対して考案した評価の視点・観点の網羅性と汎用性を確かめるため,災害時の薬剤提供という医療サービスに新たに焦点を置いて,研究を進めて検証を行った.本年度はさらに災害時の輸血業務に関しても取り上げて,検証を行うこととした. 具体的には,災害拠点病院であるA病院との共同研究の中で,まず平時における輸血業務の実態を業務プロセスフローチャートにて可視化し,各業務で使われる設備・機器,帳票・ワークシート類,情報システム,その他物品等を把握した.また,実際の担当者に対してヒアリングし,災害時に起こりえる問題点を把握した.また,災害時において輸血業務でどのような障害や問題が発生していたか,事前にどのような備えをしていたから問題なく対応できかについて,関連する事例,文献,論文等を調査した.これらA病院と文献調査の両方の結果に基づいて,災害時に起こりえる輸血業務上での問題点をツリー構造(系統図)で体系的に展開し,輸血業務問題点一覧表を作成した. 輸血業務問題点一覧表を検証するため,A病院の検査科スタッフに協力していただき,机上による災害演習・訓練を行った.検証の目的のひとつは一覧表の網羅性であり,A病院で上がってきた問題点をすべてカバーしていることを確認できた.検証のもう一つの目的はこの一覧表を活用することで,災害時の輸血業務で起こりえる問題点を発見できるかである.実際に災害演習・訓練スケジュールの後半では,一覧表をもとにディスカッションを行ったところ,前半でのディスカッションでは出てこなかった新たな問題点を6つ発見することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,直接的には災害食の食事提供のレジリエンス評価であるが,その汎用性・有用性を確かめるためには,他の医療サービスである薬剤の備蓄・提供や輸血業務についても検討する必要性があることがわかっている.その意味で,研究期間の2年目,3年目はそのような計画で研究を進めてきており,おおむね順調に進んでいると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究状況でと述べた通り,おおむね順調に進んでいるものの,一方で,薬剤,輸血での調査結果を踏まえ,災害食におけるレジリエンス評価方法の精緻化にはまだ至っておらず,その点を次年度は研究し完成させたい.また,これら各医療サービスの特徴を整理し,それらの間の共通点,相違点を整理したうえで,災害時における医療サービスのレジリエンス評価方法として何が求められるかを追求していく必要がある.
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