研究課題/領域番号 |
21K04555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
千葉 英史 法政大学, 理工学部, 准教授 (70434892)
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研究分担者 |
大塚 帯紀 サイバー大学, IT総合学部, 助教 (00897449)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 確率モデル / 並列型待ち行列 / バッファ / 等間隔到着 / 衝突確率 / アルゴリズム / シミュレーション / 製造ライン / 生産スケジューリング / 製造モデル / 直並列モデル |
研究開始時の研究の概要 |
近年の製造業では,オーダーメイド方式など,求められる製造システムが多様である中で,効率的な製造を実現するには,個々の装置の性能向上だけでは不十分であり,製造システムの設計法が効果的である.生産スケジューリング分野では,製造システムの数理モデル化・解決法に関する研究が活発に行われている中で,我々は材料同士が衝突する確率の算法を研究してきた.本研究では,多様な製造システムに対応するため,より一般的なモデル上での衝突確率の算法を研究する.また,材料の投入間隔の最小化,および,バッファの総数の最小化といった実用的な最適化問題に対する効率的な解決法を研究する.
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き,バッファ付き並列機械モデル上での衝突確率の計算に関する研究に取り組んだ.このモデルは,待ち行列の客の人数制限を考慮した並列型待ち行列の変種と見なすことができ,特に製造システムの高度化への応用可能性を有する.このモデルでは,処理時間は確率的と仮定されており,各ジョブが並列機械に投入されるときの状況に応じて,次のように動作が決められている.(1)稼働していない機械が存在すれば,その機械で処理される.(2)全ての機械が稼働中であるが,空いているバッファが存在すれば,空いているバッファが最も多い所に運ばれる.(3)全てのバッファが埋まっているとき,ジョブが待機できる空間が存在しないことを意味しており,この状況を衝突という.衝突が生じると,生産計画の遅れや想定外の予算オーバーなどの大きな損害を被るため,可能な限り衝突が起きないようにすることが肝要である. 前年度までに,バッファ付き並列機械モデル上での衝突確率の計算アルゴリズムを開発しており,本研究ではこの研究結果を学術論文として投稿するための執筆を行った.具体的には,バッファ付き並列機械モデルと開発アルゴリズムを精査して,データ構造であるキューと二分ヒープを活用することで効率良く実現できることを確認した.特に,各ジョブがどの機械で処理されるのかを求める際に,単純な配列ではなく,二分ヒープを活用することにより高速化に成功しているのが特徴的な点である.また,これらのデータ構造を用いて,開発アルゴリズムを疑似コードとして記述した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では,バッファ付き並列機械モデル上での衝突判定アルゴリズムに関する研究成果を整理して,学術論文誌に投稿するつもりだったが,開発アルゴリズムや利用したデータ構造を様々な角度から慎重に検討したため,まだ完成していない.また,研究分担者の所属機関が変わったことにより,仕事量に変化が生じた.また,当初の計画では,開発アルゴリズムを自然に拡張することで,その直並列バージョンのモデル上でも同様に,効率的な衝突判定アルゴリズムを開発するつもりだったが,まだ十分検討できていない.
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今後の研究の推進方策 |
来年度の前半で,現在執筆中の原稿(バッファ付き並列機械モデル上での衝突確率の計算)を書き上げて,学術論文誌へと投稿することで専門家からの評価を受ける.アルゴリズムの実装自体はこれまでに洗練されてきており,種々のパラメータの変更による追加実験も比較的スムーズにできる状況にある.これまでの研究成果から得られた知見は,直並列モデル版での衝突判定法を検討する際にも応用できると考えている.そこでのアルゴリズムの実装についても,並列モデル版上での既存プログラムを応用することで,効率よく実現するつもりである.アルゴリズムの評価については,時間計算量の解析だけでなく,計算機実験による実際の速度評価を行う.さらに,各種パラメータの推移による計算結果の考察を整理した上で,国内外の学会で発表して研究内容の評価を受ける.
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