研究課題/領域番号 |
21K04572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
木村 貴彦 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80379221)
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研究分担者 |
岩原 昭彦 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30353014)
八田 武志 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80030469)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 認知機能 / 高齢者 / 就労 / エラー / 不安全行動 / 加齢 / 認知特性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の主眼は,少子高齢化が進む我が国における高齢者の持続的な就業を見据え,高齢者が働く中で事故に遭遇しないように心理学的手法を援用した支援・訓練手法を開発することである.高齢者の労働を取り巻く要因は様々にあるが,本研究ではエラーと認知機能低下に注目する.それらの関係を類型化し,エラーを抑制するための具体的な支援策や訓練法の開発と有用性の検討に結びつけていく.
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研究実績の概要 |
本研究の最大の目的は,高齢期に関わる認知的側面の視座を加えて高齢者の就業における安全と安心に貢献することである.今年度に実施された研究は大きく以下のふたつの側面からなる. 第一に,地域で実施される大規模な縦断的な健康診断の場を用いて不安全行動についての自己評価と仕事の中での失敗経験,ならびに高次認知機能の関連について検討を行った.昨年度は失敗傾向についての評価を行ったが,今年度はより具体的な不安全行動の内容について質問を行い就業中の失敗経験との関連を検討した.結果,仕事の中で失敗経験がなかったと回答した群で複数回あったと回答した群よりも不安全行動の評価が低くなった.これは昨年度実施した失敗傾向に関する評価とも整合していた.これらの評価はどちらも自己評価に基づくものであったことが関連していると考えられる.他方,エラーや不安全行動の生起に関連すると考えられる注意機能(D-CAT:数字末梢課題)や実行機能(Stroop検査)を測定した結果からは,仕事の中での失敗経験がなかったと回答した群の方が複数回あったと回答した群よりも全体的に成績が低かった.すなわち,自己評価による失敗経験や不安全行動の把握の方法は過小評価の傾向が見られる可能性があることから,安全性の検討のためには作業検査など簡便で適切な手法に基づく評価が必要になると考えられる. 第二に,昨年度に開発されたWeb版D-CATの妥当性についての検討を行った.これまでの研究で紙版(通常版)とタブレット版によるデータが蓄積されている参加者のうち,Web版D-CATの実施への協力が得られた学生を分析の対象とした.現在,これらの複数の手法で実施されたD-CATの結果について分析を行っており,得られた内容から妥当性や信頼性を検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に続き,新たな視点から大規模な集団における調査を実施できデータの蓄積がなされたものの,新たに開発されたWeb版D-CATについては分析中となっているため.
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今後の研究の推進方策 |
(1)継続して縦断的調査によるデータの収集を行い,認知機能と就業中の失敗,エラーの関連性を検討する.また,認知機能の中でも注意機能と実行機能に焦点を当て,就労中のエラーや傾向との関連を検討していき,実際的な提言に結びつけていく. (2)新規に開発したWeb版D-CATについて,学生のデータによる従来方法との比較を行い,得られた知見に基づき中高年齢者のデータについての収集を試みていく.
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