研究課題/領域番号 |
21K04602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 学習院女子大学 (2023) 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2021-2022) |
研究代表者 |
熊谷 英憲 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (10344285)
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研究分担者 |
萬年 一剛 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 主任研究員 (70416080)
清水 家齊 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), 技術スタッフ (80827387)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 箱根火山 / 大涌谷 / 長期連続観測 / 火山ガス / 耐久性試験 / リアルタイムモニタリング / ヘリウム / ガス透過性試験 / ガラス透過性試験 / 火山防災 / 噴気組成異常 / 水蒸気噴火 / ヘリウム連続測定 |
研究開始時の研究の概要 |
水蒸気噴火のような突発的火山活動は人的損失をもたらす深刻な被害に直結するので、切迫性評価が強く望まれており、地下で起きた変化をいち早く地表へ伝えると考えられている火山噴気中のヘリウムが着目されてきた。しかし、火山ガスからヘリウムを精製単離することが難しいため、ほかの火山ガス種では可能となりつつある連続モニタリングがヘリウムではまだできていない。本研究では、ヘリウムがガラスに対して著しい透過性を持っていることに着目し、ガラス透過窓を利用したヘリウム単離装置を実用化し、噴気からヘリウムガスを連続的に分離して分析することを可能にして、時間分解能1分未満の完全リアルタイムモニタリングを実現する。
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研究実績の概要 |
火山における野外長期観測は、噴火間隔が数年から数十年であることを考えると、観測機材について可能な限り長期の耐久性を備える必要がある。しかし、実際には野外での連続観測はどのような測定項目でも困難が生じる。とくに、活動的火山の噴気地帯は腐食性ガスに曝されるため、とりわけ厳しい環境となっており、火山ガスの連続測定も数えるほどしか報告がない。このような中、ヘリウムのような繊細な分析手法が必要なガスの観測は極めて困難である。今年は、ヘリウム測定機材の設計と並行して、ヘリウム測定装置を格納する保護筐体の試作を進めた。具体的にはプラスチックコンテナの改造を行い、フタと本体の気密性確保の他、ガス導入や電源のための貫通孔を開口させるとともにそのコーキングを工夫した。試作したプラスチックコンテナには海洋研究開発機構所有のラドン計を格納して、耐久性試験を行ったところ、記憶容量の限界があるものの、11ヶ月連続のデータ取得に成功したほか、機材を良好に保っていることを確認した。 質量分析計開発については、真空配管の幾何学的形状の検討は終了し、配管部品を順次調達した。一方、質量分析計のイオン源フィラメントが試験中に焼損してしまった。この納期が9ヶ月と長大で、調達未了で年度末を迎えた。 野外調査を担当する萬年は、国内における水蒸気噴火防災の専門家として、御嶽火山、草津白根火山を視察して、観測態勢等の情報収集に努めた。また、耐久試験の適地として、大涌谷園地内の博物館施設を選定して、野外観測計画を進捗させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
充分なヘリウム透過性を有するガラス透過窓の選定に想定以上の試験時間を費やしたことによる。複数の材質を比較試験し、透過窓としては想定を満足する透過性の部材を選定はできたものの、一方、予定機材の質量分析計での信号強度は充分に得られなかったため、真空配管の幾何学的形状を再検討する必要が生じたという技術的困難に起因した遅延である。また、耐久性試験実施中の博物館施設建屋ドライエリアであっても硫化水素雰囲気下の環境であることから、制御のPCも別筐体に密閉して無線により制御する必要が生じ、この接続法についての検討によるあらたな遅延も生じた。 加えて、世界的な紛争・戦争による半導体部品の供給ひっ迫と物流の遅れによって、年度内に焼損した質量分析装置の修理部品の入手が遅れ、次年度後半となると想定されていることから、観測装置のくみ上げが納品を受けた後となることも懸念要素となっている。
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今後の研究の推進方策 |
観測候補地点はすでに選定できているものの、今年度におけるヘリウム野外観測の実現は大変に困難な状況となっている。一方、耐久性試験の一環として同じく希ガス元素に属するラドンを計測対象とした別種の既製品観測機材たるラドン計測装置を令和4年度中に建屋ドライエリアへ設置し連続観測を開始できたので、火山のふるまいを連続的に化学的にモニタリングするという研究計画の骨子については計画を先取りして進捗した要素もあるので、この方向での成果拡大も狙う。令和6年度内にヘリウムを対象とした質量分析装置の無線による制御の実現が難しい場合には、有線での制御による観測を開始することで、機材の耐久性も含めた性能確認をはかるものとする。特に耐久性試験については、試験期間が不足する懸念があることから、噴気の時間変動についての予察的データの獲得もかねて、実績のあるラドン計測器による予備観測を継続することで、観測期間を担保する。質量分析計の焼損部品の入手修理後とはなるが、すくなくとも、令和6年度中に観測機材としてのくみ上げを図る。開発したヘリウム観測機材による野外観測については、本研究計画の到達点として実施できるよう努める。
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