研究課題/領域番号 |
21K04617
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
藤田 智己 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10552458)
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研究分担者 |
船木 尚己 東北工業大学, 建築学部, 教授 (70347897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 鉄骨置屋根構造 / 空間構造物 / 屋根支承部 / 地震応答解析 / 耐震診断 / 制振装置 / 免制振改修 / 避難施設 / 損傷メカニズム / 耐震補強 / 制振補強 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の大地震において、避難所となる空間構造物が地震被害により使用不可となる事象が確認されている。避難所として使用不可になった要因は、屋根支承部における側方破壊やアンカーボルトの破断、屋根面のブレース破断等の構造的被害である。これらの被害は現行基準で耐震性を満足していると判断された建物で発生しており、安心安全な避難施設の確保のために早急な対策が必要とされる。 本研究は、空間構造物における上述した被害の発生メカニズムを被災建物を模擬した立体モデルを用いた静的・動的解析および縮小試験体の振動台加振試験等により解明し、避難施設の機能維持を担保する耐震性能評価法・損傷制御法の提案を行うものである。
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研究実績の概要 |
本研究では、避難施設として使用される空間構造物において発生した地震被害について、その発生メカニズムを解明し、避難施設の機能維持を担保する耐震性能評価法・損傷制御法の提案を目指す。 令和5年度は、令和4年度に実施した屋根支承部に作用する応力とその推定方法について、被災した体育館を模擬した立体モデルによる地震応答解析を進め、精査することで推定方法の適用範囲を検討した。複数種の観測地震波を用いた検討から、地震波の種類を問わず、概ね各支承部反力の最大値の分布が支承部層のせん断力係数が最大値を示す時刻の反力分布と近似することが明らかとなり、屋根面に作用する地震力を適切に評価することができれば、現行の耐震診断手法に倣い単純に支承部反力の推定が可能であることを確認できた。ただし、一部の地震波において、支承部反力の最大値が発生する時刻が支承部層のせん断力係数が最大値を示す時刻と異なるケースがみられ、その要因については別途解析パラメータを増やして精査する必要があることも明らかとなった。この点については、「補助事業期間延長承認申請」を利用して、発生要因とその際の推定方法の適用方法について、継続した検討を実施したいと考えている。 また、支承部被害を防ぐための改修方法については、新たに考案した制振装置の振動試験を実施し、制振装置の持つ制御効果および建物の振動特性変化により、被害低減の可能性を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、加力方向に対して直交する方向に現れる屋根支承部の反力の存在とその推定方法の妥当性を明らかにすることができ、制振装置の導入による屋根支承部の損傷を制御できることを確認することができた。推定方法の適用範囲について一部精度が悪いケースがあり、その要因に関して追加検討を実施することが望ましいと判断し補助事業期間延長承認申請を行い、事業期間の延長が認められている。事業期間の延長が認められた次年度は、追加検討の実施とともに、その成果を学会参加および論文投稿していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
推定方法の適用範囲について、建築形態(建物規模・屋根形状)をはじめとした様々な因子に関するパラメトリックな検討を解析的に進め、避難施設としての機能維持を担保するための耐震指標の提案を行い、その成果を学会参加および論文投稿していきたいと考えている。
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